顧問税理士なしでも会社経営はできる?メリット・デメリットから考える賢い選択とは
- はじめに|「顧問税理士はいらない?」と考える理由とは
- 顧問税理士なしでも経営できる?|実際に可能なケースとは
- 顧問契約をしないメリット|一見“得に見える”ポイント
- 顧問税理士なしの落とし穴|見落とされがちなデメリットとは
- 税理士を「スポット契約」で使えばいい?|単発依頼の限界
- 結局、顧問契約を結んだほうが良いのはどんなケース?
- 経営者が「知らないまま損している」顧問税理士の役割
- 「顧問税理士なし」でも経営はできる、でも…
- 税理士との顧問契約を検討している方へ|よくあるQ&A
はじめに|「顧問税理士はいらない?」と考える理由とは
最近、「顧問税理士はいらないのでは?」と考える中小企業や個人事業主の方が増えています。
かつては会社を設立すれば、税理士と顧問契約を結ぶのが当然とされていましたが、クラウド会計ソフトの普及や、税務署のWebサポートの充実などにより、従来の常識が見直されつつあるのです。
特に創業期やスモールビジネスにおいては、経費の削減を第一に考え、税理士との契約を見送る判断をする方も少なくありません。
また、オンライン上で簡易な申告手続きができるサービスも登場し、税務のハードルが以前ほど高く感じられなくなっているのも一因でしょう。
しかし、「本当に税理士は不要なのか?」という問いに、明快に「はい」と答えられるケースは限られます。
本ページでは、顧問税理士を置かないことのメリットとリスクを冷静に比較しながら、最終的にご自身にとって最適な選択とは何かを一緒に考えていきます。
顧問税理士なしでも経営できる?|実際に可能なケースとは
結論からいえば、一定の条件下では税理士を使わずに経営することも可能です。
実際、以下のようなケースでは、顧問契約なしでも事業が成り立っている事例が存在します。
たとえば、売上規模が小さく、取引先が少ない法人であれば、会計処理も比較的単純であり、クラウド会計ソフトを使いながら代表者自身が帳簿をつけることも現実的です。
また、設立して間もない会社で「とりあえず今年は赤字」という状況であれば、法人税や消費税の申告の複雑さも比較的抑えられています。
また、副業的に運営している合同会社などでは、そもそも事業収益がほとんどないため、記帳と申告も最低限で済むケースもあります。
このような場合には、決算期のみスポットで税理士に依頼したり、ネット上の「決算代行」サービスを利用することで、コストを抑えながら運営していくことができるでしょう。
ただし、それが「永続的に問題ない方法であるか」と言われると話は別です。
あくまで「今のところ何とかなっている」だけで、今後の成長や変化に伴って新たなリスクが浮上することを忘れてはなりません。
顧問契約をしないメリット|一見“得に見える”ポイント
顧問税理士を置かない最大のメリットは、固定費をカットできることです。
特に創業直後の企業では、毎月の数万円の顧問料でも重く感じられることが多く、「その費用を広告に回したい」「まずは資金繰りを優先したい」といった声も聞かれます。
また、税理士に依頼することで、何かとやりとりに時間がかかったり、「この領収書はどうですか?」といった細かな確認が面倒に感じられる場合もあります。
その点、自分ですべて管理すれば、スピード感を持って意思決定ができるという利点があります。
最近では、freeeやマネーフォワードといったクラウド型会計サービスの進化により、帳簿作成や請求書管理、経費の自動仕訳などがかなり効率化されています。
これにより「専門知識がなくてもなんとかなる」と感じる経営者も増えてきました。
そのほか、税理士とのやりとりが煩雑に感じられた経験がある人にとっては、「いっそ契約しない方が楽」と考えることもあるでしょう。
すべての情報を自分の中で一元管理できることに安心感を覚える人も少なくありません。
顧問税理士なしの落とし穴|見落とされがちなデメリットとは
「顧問税理士を契約しなければ、固定費が減ってお得」と考えるのは自然な流れかもしれません。
しかし、その選択が後になって大きな損失やトラブルを引き起こすことがあるのも事実です。
ここでは、税理士を顧問に置かないことで見落とされがちなリスクについて解説します。
まず最も大きなリスクは、税務申告のミスや漏れによるペナルティです。
法人税や消費税、源泉所得税など、企業が関係する税は多岐にわたりますが、正しく処理されていない場合には、追徴課税や加算税、場合によっては延滞税が課せられることもあります。
特に創業期には、経理や会計に不慣れな代表者が多く、何を経費にできるのか、どこまでが控除対象なのかといった判断でミスをしやすいのです。
また、税制改正への対応が遅れることも大きなデメリットです。
日本の税制は毎年のように見直しが行われ、たとえば「インボイス制度」や「電子帳簿保存法」など、事業者に影響する変更も頻繁にあります。
こうした情報を把握せずに古いルールのまま申告を続けていると、知らないうちに違反している可能性もあります。
さらに、税理士がいないことで、融資や補助金の申請時に不利になることがあります。
金融機関や自治体が求める「試算表」「資金繰り表」「事業計画書」などの書類は、会計の専門家でなければ正確に整えるのが難しいケースもあります。
結果として、融資が通らなかったり、補助金の申請に時間がかかりすぎてチャンスを逃すといった事態にもなりかねません。
加えて、税理士がいないことで、事業運営における相談相手が不在になるという問題もあります。
税理士は、単なる「申告代行者」ではなく、経営者の右腕として資金管理や節税、経営判断のサポートを担ってくれる存在です。
このような存在がいないことで、事業の方向性を誤ったり、危機的状況への対応が遅れるケースもあります。
顧問税理士を置かないという選択は、目先のコストを削減できる一方で、将来のリスクを見落としやすいという大きな落とし穴を抱えているのです。
税理士を「スポット契約」で使えばいい?|単発依頼の限界
「毎月の顧問料は払いたくない。
でも、決算だけお願いできればいい」という考え方から、スポット契約(単発契約)を選ぶ方もいます。
確かに、スポットで税理士に依頼することで、コストをある程度抑えながら専門的な処理を任せることは可能です。
しかし、この方式にも注意点があります。
スポット契約では、継続的な財務状況の把握や経営支援を期待するのは難しいという側面があります。
たとえば、決算期に突然依頼された税理士は、その企業の取引内容や業界特性、過去の処理方針を把握していないため、細かいアドバイスや節税提案ができないことが多いのです。
また、スポット契約では「期限ギリギリの駆け込み依頼」になりやすく、税理士側も急ぎで作業せざるを得ないため、ミスのリスクが高まることにも注意が必要です。
仮に間違った申告をしてしまった場合でも、スポット契約ではその後のアフターフォローが含まれない場合があり、責任の所在が曖昧になることもあるでしょう。
さらに、スポット契約を毎年違う税理士に依頼していると、帳簿の引き継ぎがスムーズにいかないという問題も発生します。
前任の処理内容を十分に理解できないまま次の税理士が作業を行うことで、前年度との整合性が取れないといったトラブルが起こる可能性もあります。
こうしたリスクを踏まえると、スポット契約は「本当に業務量が少なく、一定の知識がある人」に限定して成り立つ方法であり、継続的な事業成長を目指す経営者には不向きな選択肢であるといえるでしょう。
結局、顧問契約を結んだほうが良いのはどんなケース?
ではどんな場合に顧問税理士を置くことが“必要”になるのかを明確にしておきましょう。
結論からいえば、経営が複雑化し始めたとき、もしくは今後の成長を見据えて基盤を強化したいときには、顧問税理士との継続的な関係が極めて有効です。
まず、年商が1000万円を超える法人では、消費税の課税事業者になる可能性が高く、売上や仕入に関する記帳・申告が格段に煩雑になります。
税務上の判断ミスや勘違いによって、納税額が大きく異なってくるため、プロによる継続的なサポートが非常に重要になります。
また、補助金や助成金の申請を積極的に行いたい方にも、顧問税理士の存在は欠かせません。
補助金制度は内容が複雑で、審査に必要な書類の完成度も問われます。
顧問税理士は、会計面からの数字的根拠を整え、信頼性の高い計画書を一緒に作成してくれます。
さらに、従業員を雇用し、給与支払いや社会保険の対応が発生している企業であれば、源泉徴収税や法定調書の提出義務が発生します。
このような事務処理は、ひとつひとつがミスを招きやすく、また期限管理も厳格に求められます。
経理人材が社内にいない限り、外部の税理士に顧問として入ってもらうほうが、安定的で確実です。
加えて、節税を意識して資金を管理したい方にとっても、税理士の継続的なアドバイスは心強い存在です。
とくに役員報酬の設定、減価償却資産の取得タイミング、消費税の簡易課税選択などは、事前の戦略立てが節税の鍵となるため、顧問税理士と計画的に動く必要があります。
経営者が「知らないまま損している」顧問税理士の役割
「顧問税理士=税金計算してくれる人」と思っている方は多いかもしれません。
しかし、本来の顧問税理士の価値は、単なる記帳代行や申告業務にとどまりません。
むしろ経営を健全に進めるためのパートナーとして、多くの機能を果たしてくれる存在なのです。
たとえば、資金繰りのアドバイス。
毎月のキャッシュフローを把握し、数カ月先の予測を立てながら、融資や投資タイミングを見極めるサポートをしてくれます。
経営者が売上だけを見て「今なら投資できる」と判断しても、税理士の視点では「納税額が迫っているためリスクが高い」と判断されることもあります。
また、税務署からの通知や調査対応も重要な役割です。
税理士が顧問契約に基づいて対応してくれることで、経営者自身が直接やり取りをする必要がなくなり、精神的な負担も軽減されます。
税務調査は突然やってくるものですが、顧問税理士がいる企業といない企業とでは、対応の質が大きく異なります。
さらに、最新の税制改正や制度変更に関する情報も定期的に提供してくれます。
顧問契約をしていない場合、自分でアンテナを張って情報を収集する必要がありますが、税理士がいれば「あなたの業種にはこの変更が影響します」と具体的な対応まで助言してくれるのです。
そのほか、事業承継の相談、法人化のタイミング、役員報酬の適正化など、日常の業務を超えた長期的な視点でも顧問税理士の存在は大きな意味を持ちます。
税理士は単なる「会計処理の外注先」ではなく、経営の伴走者ともいえる存在です。
一緒に走ってくれる存在がいることが、経営者にとってどれほどの安心材料になるかは、実際に契約して初めて実感するケースが多いのです。
まとめ|「顧問税理士なし」でも経営はできる、でも…
結論から言えば、確かに一定の条件下では、顧問契約を結ばずとも経営を続けることはできます。
特に売上規模が小さい創業初期や、税務知識に明るい代表者であれば、最低限の手続きだけで乗り切ることも不可能ではありません。
しかし、長期的に安定した事業運営を目指すのであれば、税理士と継続的な関係を築くほうが圧倒的に有利です。
なぜなら、税理士は「今この瞬間」だけでなく、「数カ月後、数年後の会社の姿」を見据えた視点でサポートしてくれるからです。
また、節税や補助金申請、税務調査対応といった局面で顧問税理士の存在は非常に大きく、契約しないことで潜在的に失っている金銭的・心理的損失は少なくありません。
「とりあえず今は不要」と考えている方も、一度顧問契約の選択肢を視野に入れてみてください。
信頼できる税理士との出会いは、単なる外注ではなく、経営の加速装置になる可能性を秘めているのです。
税理士との顧問契約を検討している方へ|よくあるQ&A
ここでは、初めて税理士との顧問契約を検討されている方が抱きやすい疑問にお答えします。
Q:顧問契約なしで確定申告だけ依頼するのはアリ?
A:可能です。
いわゆる「スポット契約」として決算申告や確定申告だけを依頼することはできます。
ただし、申告直前になって慌てて依頼するのは危険です。
帳簿の確認・整理が不十分だと、税理士側でも対応しきれないケースがあるため、できれば早めの相談をおすすめします。
Q:税理士と顧問契約を結んだら、途中で解約できますか?
A:はい、可能です。
契約書に沿った手続きであれば、中途解約も認められます。
不満や相性の不一致を感じたら無理に続ける必要はありません。
ただし、次に依頼する税理士に資料を引き継ぐ関係もあるので、解約時期と帳簿整理の状況を考慮しましょう。
Q:顧問契約ってどのくらい費用がかかるの?
A:相場としては、個人事業で月1〜3万円前後、法人なら月2〜5万円程度が多いです。
ただし、業種や業務量、対応範囲によって変動します。
給与計算や年末調整、決算対応が含まれるかどうかも要チェックです。
Q:税務署に目をつけられやすい会社ってありますか?
A:特定の業種や規模で目をつけられるわけではありませんが、赤字が続いていたり、交際費や車両関連費用が多い場合には、税務署の目に留まりやすくなります。
帳簿の整備と説明責任が問われるため、税理士の存在が抑止力にもなります。
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