リースバックとは 家を売って住み続ける仕組みとメリットとデメリット

リースバックとは、現在住んでいる自宅を不動産会社や投資家などに売却し、その後も賃貸契約を結ぶことで同じ家に住み続けることができる仕組みを指します。

つまり、所有権を手放しつつも、これまでと変わらない環境で暮らし続けられる方法です。

主に資金が必要になった際に、自宅を売却することでまとまった現金を手に入れつつ、住み慣れた家を離れずに済むという特徴があります。

これは高齢者や急な資金需要が生じた人々にとって魅力的な仕組みになります。

リースバックの仕組み

リースバックでは、まず自宅を不動産会社や投資家に売却し、その後、売却先と賃貸契約を結びます。

この契約には、通常「普通賃貸借契約」と「定期賃貸借契約」の二種類があります。

普通賃貸借契約の場合、借主には一定の法的保護があり、家賃を支払い続ける限り長期間住み続けることができます。

一方で、定期賃貸借契約では、契約期間があらかじめ決まっており、期間が終了すれば退去を求められる可能性もあります。

どちらの契約形態を選ぶかによって、将来的な住まいの安定性が変わってくるため、契約内容には慎重に目を通す必要があるでしょう。

リースバックのメリット

リースバックの最大のメリットは、自宅を売却することでまとまった資金を手に入れながらも、住み慣れた環境を維持できる点にあります。

たとえば、住宅ローンの返済が厳しくなった場合や、事業資金、医療費、介護費などが急に必要になった場合でも、引っ越しをせずに対応できるのは大きな利点です。

特に、高齢者にとっては、新しい住環境に適応することが難しいケースも多いため、これまでの生活スタイルを変えずに済むことは心理的な安心感につながります。

また、固定資産税や修繕費といった、持ち家ならではの出費がなくなる点も、経済的な負担軽減の要素として挙げられます。

さらに、リースバックは住宅ローンの残債がある場合でも利用できることがあり、売却した資金でローンを完済できれば、借金の負担を減らすことも可能です。

特に、住宅ローンを完済できなくても、リースバック後に家賃として支払う金額の方がローン返済額より低くなる場合もあり、月々の支出を抑える手段としても検討の価値があります。

また、将来的に再び家を買い戻すオプションが付いているケースもあり、生活状況が改善した際に再取得を目指せる点もメリットの一つです。

リースバックのデメリット

リースバックにはデメリットも存在します。

その一つが、売却価格が市場価格より低くなることが多い点です。

一般的な不動産売買と異なり、リースバックを行う不動産会社や投資家は、将来的な賃貸収入や物件の売却益を見込んで取引を行うため、市場価格よりも低めの価格で買い取る傾向があります。

そのため、できるだけ高く売りたいと考える場合、通常の売却方法と比較して慎重に検討する必要があるでしょう。

また、リースバック後の家賃が高くなるケースも少なくありません。

通常、売却後に賃貸契約を結ぶため、その家賃は市場の相場に基づいて設定されますが、元々所有していた住宅にそのまま住むという特殊な状況のため、相場よりもやや高めに設定されることが多いのが実情です。

結果として、ローンの返済を免れたとしても、家賃の負担が重くなってしまう可能性があるため、月々の支出がどの程度変化するのか、事前に試算しておくことが大切です。

さらに、リースバックを利用したからといって、永続的に住み続けられるわけではないという点にも注意が必要です。

特に、定期賃貸借契約を結んだ場合は、契約期間が満了すれば退去しなければならず、将来的に引っ越しを余儀なくされる可能性があります。

また、リースバックを提供する不動産会社が物件を第三者に売却することもあり、その場合、新たな所有者が賃貸契約を更新しない決定を下すことも考えられます。

住み続けることを前提に考えていたのに、突然立ち退きを求められるリスクがあることを理解しておく必要があります。

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