名古屋市の離婚の手続き完全ガイド|離婚届の書き方と出し方から必要書類と注意点も解説

離婚の手続き完全ガイド|離婚届の書き方と出し方から必要書類と注意点も解説



名古屋市の離婚届の入手方法と提出先の基本

役所の窓口で受け取る/ウェブでダウンロード

離婚届は、名古屋市以外でも、全国の役所で入手可能となっています。

市区町村の窓口で「離婚届をください」と言えば、無料でもらえます。

また、法務省のサイトや、一部自治体のサイトからPDF版をダウンロードできることもあります。

提出先は戸籍のある場所あるいは居住地の役所

離婚届は、以下に挙げる市区町村役所に出すことができます:

  • どちらか一方の本籍地
  • どちらか一方の住所地(住民票や一時滞在中の場所を含む)

例としては離れて暮らしていても、夫婦それぞれの住所地の窓口で届けられます。

本籍地でなくても構わないという事実は、あまり知られていない点かもしれません。

平日・休日・夜間の届け出はできる?

市区町村の窓口が開いていない時間帯でも、夜間・休日の受付窓口を利用して提出可能です

時間外の提出はいったん仮受付となる場合があり、後で内容確認を経て正式に処理される扱いになります。

それゆえに、不備があると受理されず、再提出が必要になるケースも。

時間外提出を予定している場合は、事前に市区町村の窓口で書類の内容確認をしてもらっておくのがおすすめです。



名古屋市での離婚届の書き方の全体像

書類のレイアウトと各記入欄の確認

離婚届の記入欄は、夫婦の情報、子どもがいる場合の親権者、証人欄など多岐にわたります。

ぱっと見ると単純そうに見えても、わずかなミスが再提出につながることから、はじめに全体像を把握しておくことが肝心です。

まずはコピーして練習用にするという方法もあります。

役所で記入例をもらえることもあるため、あらかじめ確認すると安心です。

どこから記入する?下書き用コピーの活用も

どの順で書くかは決まっていませんが、最初に夫婦の情報(氏名や住所、本籍)から書き始めると記入しやすいです。

次に、子どもの親権や証人の記入欄などの共同確認が必要な項目を記載していきましょう。

下書きを用意することで、戸籍上の正確な情報や旧姓などを間違えずに転記できます

とくに戸籍の本籍地や筆頭者欄は、普段使う機会が少ないため誤記が起きやすい箇所です。

黒のボールペンで書く/修正液はNG

離婚届は公文書として扱われます。

名古屋市でも、黒のボールペンまたは万年筆で記入しなければならず、消えるインクは不可です。

書き損じたときに修正ペンやテープで消すのもNG行為です。

訂正は二重線+訂正印で対応しましょう。

訂正が多すぎると、役所が受け付けないこともあります

もしそうなったら、新しい用紙に記入した離婚届をもう一度書いて提出しなければなりません。

1枚だけでなく、複数枚もらっておくのがおすすめです。



夫婦の情報欄の書き方|基本情報の記入ポイント

名前・誕生日・住所・本籍の正確な記入

初めに記載するのは、夫婦それぞれの「戸籍上の氏名」「生年月日」「住所」「本籍」です。

氏名を記入する際には、結婚後の姓を使って記入します。

たとえば、結婚時に夫の姓になった場合は、その名字を離婚届にも書きます。

住所については住民票通りに記載する必要があるため、建物名称や部屋番号も正しく記載しましょう。

また、本籍地と現住所が異なる場合もあるため、戸籍謄本で正確な本籍地を確認して記入ミスに注意しましょう。

離婚後の姓に関する選択時のポイント

離婚したあとにどの姓を使うかも、大切な決定事項です。

結婚して姓が変わっていた場合、離婚後に婚姻中の姓を使い続けるか旧姓に戻すかを選べるという制度になっています。

離婚届に加えて「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」を提出すれば、旧姓に戻らず婚姻中の姓を継続使用することが可能です。

この手続きは、名古屋市でも「離婚届を出してから3か月以内」が期限のため注意しましょう。

間違いを防ぐために事前に戸籍謄本を確認

本籍とは異なる役所に離婚届を出す場合、戸籍謄本の添付を求められることもあります。

さらに、筆頭者の名前が誰になっているかで記載箇所が違ってくるため、戸籍の記載内容と記憶があっているか不安なときは、先に確認しておくことがミスを防ぐ第一歩になります。



親権者欄の書き方|名古屋市で子どもがいる場合の記載方法

親権を誰が持つかの記載が必須

名古屋市の協議離婚の離婚の届け出では、未成年である子供がいる場合は親権者の欄を必ず記入する必要があります。

この要件は離婚の条件ではなく、「離婚の成立に必須の記載事項」とされており、名古屋市でも、記載なしでは受け付けてもらえないので注意してください。

父親もしくは母のいずれかを選択して、その人が親権を有するという意思を、当事者である夫婦が同意したうえで記述する必要があります。

ここで夫婦の意見が分かれた場合は協議による離婚ができず、家庭裁判所を通じた調停や審判の手続きに進むこととなります。

名古屋市で複数の子どもがいるときの記載の仕方

あまり知られていないのが、子どもが複数人いる場合、それぞれにそれぞれに別の親権者を指定できるという点です。

ただし、兄弟姉妹の親権を分けることは慎重に検討される必要があり、児童相談所や家庭裁判所の関与が必要なこともあります。

離婚届には子どもの氏名と「親権者」が一緒に記載されるため、それぞれの子について、どちらの親が親権者となるかはっきりと記載しましょう。

子の氏名を書く欄が足りない場合は、別紙を利用して記載するなど、柔軟な措置も認められています。

親権の記載を省略するとどうなる?

とにかく提出しておいて、別の機会に親権を誰にするかを考えようと考える方もいるかもしれませんが、親権を記入する欄が空欄のままでは、名古屋市においても、離婚届は受理されません

つまり、親権が未確定な状態では、協議離婚は成立しないということです。

親権を持たない親が「接触の機会がなくなる」というわけではありません。

面会交流権や養育費についての話し合いは、親権の取り決めとは異なる問題です。

あくまで、子の法律上の保護者としてどちらが責任を持つのかを明確にするのが親権であるということを理解したうえで記入しましょう。

親権についてのもっと詳しい内容は、子どもがいる場合の離婚と親権のすべて|後悔しないために知っておくべき選択と変わる制度のポイントのページで紹介しています。



証人欄の書き方|2名の署名と押印をもらう

証人になれるのは誰?

名古屋市での協議離婚の離婚届には成人2名の証人の署名と押印が必要です

これは、「当事者である夫婦が合意の上で届け出た」という事実を、第三者が確認したことを確認する仕組みです。

証人になる人は、友人知人、会社の上司、兄弟姉妹、保護者、知り合いなど、成人であれば誰でも証人になれます

公的な資格や地位や身分は必要ありません。

夫婦のどちらかにとって信頼のおける人物であれば十分です。

証人の情報を記入

証人記入欄には次の内容を一つひとつ記載してもらう必要があります:

  • 氏名(戸籍通りに)
  • 誕生日(表記方法は自治体指定)
  • 現住所(住民票通りに)
  • 本籍地(都道府県+詳細まで)

さらに、印鑑の捺印が必要です

シャチハタ印は使えず、認印(朱肉で押すタイプ)であればOKです。

もし現住所または本籍地が把握できていない場合は、証人に前もって確認しておくと安心です。

証人が他県に住んでいるときの対応

証人がもし離れた地域に住んでいる場合でも、離婚届を郵送して署名・押印してもらうことが可能です

そのようなときは、あらかじめ記入した離婚届を送付する→署名・押印して返送してもらうという進め方になります。

郵送による紛失や記載ミスを見越して、離婚届を多めに送っておくと万全です。

証人に書いてもらうときには、記載例や説明文を入れて送ると、証人も書きやすくなります。



その他の欄の書き方|名古屋市で注意すべき記入項目

別居の有無/同居した日などの記載方法

離婚届には、「同居を始めた日」「別居した日」などの内容を記入する欄が設けられています。

このような情報は戸籍上には表示されませんが、行政側での参考情報とされる場合もあります。

一例としては、婚姻期間に関するデータや将来的な公的な確認時の情報として使われる可能性があります。

はっきりした日付が不明な場合には、夫婦間で相談して「おおよその日」を記載しても差し支えありません。

届出人署名・押印欄についての記入間違いが名古屋市でも多い

届出人が記入する欄では、両方の当事者が自筆で署名し、押印を行う必要があります。

当人が書かないと提出が認められないため、当事者以外の人が代理で書くことはできません

使用する印鑑は結婚中の姓で届け出たものが原則となっています。

印影が不鮮明な場合、窓口によっては再度押すよう求められることもあるため、しっかり押印するようにしましょう

間違えたときの直し方(訂正印の使い方)

間違えたときには、間違えた部分を二重線で取り消して、訂正の印を押して正しい内容を追記するのが基本です。

この印鑑は、記載ミスをした当人が押さなければなりません。

例えば妻が記入した欄が間違っていたなら妻本人の印を用いて訂正処理する必要があります。

間違いが多い場合は、別の離婚届を使った方が無難というケースもあります。

夜間窓口での提出時は、訂正の判断が翌日になることもあるため、事前に提出先で内容を確認しておくのが望ましいです。



離婚届が受理されないケースとその対処法

記入ミス・証人情報の不足や印鑑の押し忘れなど

離婚届は、どこかに不備があると受理されないという点に注意が必要です。

ありがちな受理されない理由は以下のようなものがあります:

  • 氏名や本籍地の誤記
  • 印鑑が押されていない、または不鮮明
  • 証人の署名欄が空欄
  • 未来の日付が書かれている
  • 親権者を選んでいない

提出したその場で役所に指摘されることが一般的ですが、開庁時間外の受付では翌日にミスが発覚する可能性もあります。

そのため、可能であればあらかじめ通常の窓口で記載内容を確認してもらうようにしてください。

不受理申出制度に注意|勝手な提出への備え

「本人の知らぬ間に離婚届を勝手に出されていたらどうしよう…」と考えて不安を抱える方もいます。

そういうときには離婚届の不受理申出という制度を使うことで対応が可能です

この申出をしておくと本人の意思確認なしに勝手に受理されることはありません

不受理の申し出は名古屋市の役所の窓口で行え、有効期間は設定されておらず、解除手続きをしない限りずっと有効です

離婚を視野に入れているが、相手側が先に了承なしに提出しそう…という懸念があるなら不受理申出制度が頼れる自衛策となります

やり直しになった場合の再提出の手順

不完全な記載によって離婚届が戻された場合、再提出することはいつでも可能です。

その場合も証人の署名欄や届出人の欄は全項目を書き直しになるため、離婚届は新しく記入用紙を用意しましょう。



名古屋市での離婚届の出し方と必要書類

必要な書類(本人を確認できる書類と印鑑など)

名古屋市で離婚届を提出するときには、離婚届以外にも、身分証明書類印鑑など、必要な持ち物があります。

基本的には次の書類を持参できるようにしましょう:

  • 完成した離婚届(証人欄も記入されてすべて完成していること)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
  • 印鑑(届出人それぞれのもの)
  • 戸籍謄本(本籍地以外で提出する場合のみ必要)

本籍以外の自治体に提出する際には戸籍謄本の提出が必要です。あらかじめ郵送で取得しておくと確実です。

窓口での提出手順|本人提出・代理提出どちらでも可能

名古屋市での離婚の届け出は、夫婦が一緒でなくても問題なく受け付けられます

夫または妻のどちらかが役所の窓口に出向いて届け出ることが可能です。

受付では、受付の担当者が内容を確認し、記載ミスや記入漏れを確認してくれます。

記載ミスがあったときに備え、印鑑と身分証明書は忘れずに持参しましょう。

第三者による提出もできますが、必ず署名・押印が済んでいる離婚届が必要になります。

代理で提出する人が代筆することはできませんので、すべての項目が書かれていることをチェックしたうえで任せましょう。

届出完了後にトラブルを防ぐための控えの保管

離婚届は提出すると役所に保管され、提出者の手元には返されません。

そのため、提出前に忘れずに写しを取っておくことが望ましいです。



名古屋市での離婚に関するよくある質問

Q.離婚届の証人が見つけられません

A.離婚届では証人が2名必要(成人)とされていますけれども、親や友人などにお願いできない場合には、行政書士や司法書士などに報酬を払ってお願いすることも可能です。

また、結婚当初の証人とは別の人でも問題ありません

証人になる人はあくまでも「協議による離婚が合意されたことを確認する第三者」という立場であり、何らかの責任や義務が生じることはありません。

Q.書類を提出したあとに気持ちが変わったら取り下げられますか?

A.離婚届は、役所に受理された時点で正式に離婚が成立した扱いとなります。

役所に提出後に「やっぱりやめたい」と思っても、無効にはできません。

提出してすぐであっても、正式に受理される前なら差し止めできることもありますが、正式に受理されたあとの取り消しは認められていません

離婚届を出す前には、冷静な気持ちで、はっきりした気持ちで判断することが大切です。