はじめての家づくり完全ガイド|家を建てたいと思ったら読む7つのステップ

はじめての家づくり完全ガイド|家を建てたいと思ったら読む7つのステップ



家を建てたいと思ったら、まず全体の流れを知ろう

なぜ「全体像の把握」が大切なのか

「家を建てたい」と思ったとき、多くの人が最初に感じるのは、何から始めたらいいのか分からない不安です。

住宅展示場を見に行くべき?住宅ローンの相談?土地探し?……選択肢が多すぎて、立ち止まってしまう方も少なくありません。

しかし、家づくりには大まかな流れがあります。

その全体像を先に知っておくだけで、驚くほど安心して進められるようになります。

逆に、行き当たりばったりで進めると、後戻りが難しくなったり、余計な費用がかかったりすることも。

まずはこのページで、家づくりの7ステップをひとつずつ順を追って確認し、ご自身の位置と次のアクションを明確にしていきましょう。

家づくりは7つのステップで進む

家を建てる流れは以下の7ステップに分けることができます。

  1. 検討(理想の暮らしをイメージ)
  2. 資金計画(予算を立てる)
  3. 土地探し(エリア・条件の検討)
  4. 設計・間取り(理想を形にする)
  5. 契約(住宅会社との取り決め)
  6. 建築(着工〜完成)
  7. 入居(引き渡し〜住み始め)

このステップを一つずつ踏むことで、スムーズかつ納得感のある家づくりが可能になります。

「注文住宅」「建売」「規格住宅」などの違いを知っておこう

家を建てると一口に言っても、選び方にはいくつかの種類があります。

自由度の高い「注文住宅」、完成済みを購入する「建売住宅」、間取りが決まっている「規格住宅」などです。

くわしくは、注文住宅と建売住宅の違いとは?後悔しない選び方と費用・自由度・住み心地の比較ガイドのページを参照してください。

本記事では、主に自由設計の注文住宅を建てたい方を想定しながら進めていきます。

ただし、すべての方に共通する流れも多いため、参考になる部分は必ずあるはずです。


STEP1:理想の暮らしをイメージする(検討)

家を建てたいと思った理由を掘り下げよう

「家を建てよう」と思った背景には、何らかのきっかけがあるはずです。

  • 家賃がもったいない
  • 子どもが生まれた/育ってきた
  • ペットと自由に暮らしたい
  • 実家の近くに住みたい

このような想いを言葉にすることで、家づくりの軸がはっきりしてきます

住宅会社と打ち合わせを進めるうえでも、この「なぜ家を建てたいのか」という動機がとても重要な土台になります。

家族構成・ライフスタイル・将来設計を整理する

理想の家は「今の暮らし」だけでなく、「未来の暮らし」にも寄り添う必要があります。

  • これから子どもは何人?
  • 共働きを続ける予定?
  • 在宅ワークや介護の可能性は?

こうした点を見据えると、今だけでなく10年後・20年後も快適に暮らせる家を設計しやすくなります。

間取りやデザインの好みもここで整理しておく

SNSや住宅情報誌を見て「こんな家に住みたい」と感じたことがある方も多いでしょう。

その感覚はとても大切です。

理想の間取りやインテリアの雰囲気など、好きなテイストを可視化しておくことで、設計段階での迷いが少なくなります

おすすめは、PinterestやInstagramで「理想の家」を集めておくこと。

イメージの共有は言葉よりもビジュアルの方が伝わりやすいため、住宅会社との打ち合わせもスムーズになります。


STEP2:資金計画を立てる(予算)

総予算の考え方|建物だけじゃない「土地+諸費用」も忘れずに

家づくりを語るうえで、最も現実的かつ重要なステップが「資金計画」です。

多くの方が誤解しているのは、「建物価格=家づくりの総費用」ではないということ。

実際には、次のような費用が発生します。

  • 土地代(必要な場合)
  • 建物本体価格
  • 外構・造成・地盤改良費
  • 設計費・申請費・登記費用
  • 各種税金(印紙税・登録免許税など)
  • 引っ越し・家具・家電購入費

つまり、見積もり金額+αの余裕を持っておくことが大切です。

「これ以上は絶対出せない」というラインを把握し、その中でベストな選択をしていく意識が必要です。

住宅ローンをどう組む?自己資金の割合や借入可能額

資金計画では「自己資金」と「住宅ローンの借入額」のバランスを見極めることが重要です。

理想的には、総費用の2〜3割程度を自己資金で用意し、残りを住宅ローンでまかなうケースが一般的とされますが、実際には1割程度しか用意できない方も少なくありません。

そこで重要になるのが「返せる額」と「借りられる額」は違う、という視点です。

金融機関は返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)をもとに貸し出し上限を決めますが、家計に無理のない返済計画を優先することが、長く安心して暮らすための鍵です。

見落としがちな「入居後の費用」も視野に入れておく

資金計画を立てるときに忘れがちなのが、「家を建てた後」にかかる費用です。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険・地震保険
  • メンテナンス費用(10年後の外壁塗装など)
  • 太陽光や蓄電池導入の検討

これらをあらかじめ想定しておくことで、将来の家計トラブルを防ぐことができます。


STEP3:土地を探す(または決める)

「建てたいエリア」をどうやって絞る?

土地がない場合、まず「どのエリアに住みたいか」を考えることがスタートになります。

  • 通勤・通学の利便性
  • 実家や職場との距離
  • 子育て環境(保育園・小学校の評判など)
  • 商業施設や病院の近さ

こうした条件を整理し、優先順位をつけることで、土地選びがスムーズになります。

すべての希望を満たす土地はほぼ存在しないため、「絶対に譲れない点」と「妥協できる点」を区別することが大切です。

土地探しの方法とチェックポイント

土地を探すには、不動産ポータルサイトの活用が主流ですが、それだけでは不十分な場合もあります。

以下のような方法も併用しましょう。

  • 地元の不動産会社に相談
  • 住宅会社に土地探しから依頼
  • インフラ整備計画や市区町村の情報を確認

また、土地の現地見学では以下のようなポイントをチェックします。

  • 地盤の強さ(軟弱地盤だと地盤改良費が高くなる)
  • 前面道路の広さや方角
  • 隣接建物との距離・日当たり
  • 雨水の排水状況
  • 周辺環境(騒音・治安・ごみ出しルールなど)

「建てたい家が建てられる土地かどうか」も非常に重要なポイントです。

法的な制限(建ぺい率・容積率・接道義務)などにより、希望の間取りが実現できないケースもあるため、土地と建物の両方を一緒に考える視点が必要です。

土地付き住宅・分譲地・売地…選択肢とそれぞれの注意点

土地にはさまざまな形態があります。

  • 土地付き住宅(建売):完成済みで入居が早いが、設計の自由度が低い。
  • 分譲地:複数の区画が一斉に販売される。インフラが整備されていて安心。
  • 売地(単独土地):自由度は高いが、インフラ整備や周辺環境に注意が必要。

どの選択肢にもメリット・デメリットがありますが、注文住宅を検討しているなら、建築条件付きかどうかも重要な確認ポイントとなります。


STEP4:理想の設計・間取りを考える

建築士やハウスメーカーとの打ち合わせの進め方

土地が決まれば、いよいよ家の設計に進みます。

注文住宅では、建築士やハウスメーカーの担当者と何度も打ち合わせを重ねながら、間取りや仕様を一つひとつ決めていく必要があります。

初回打ち合わせでは、暮らしの要望・こだわり・将来の展望などをヒアリングされることが多く、その内容が家づくり全体の方向性を左右します。

この段階では、「〇LDKがいい」よりも「どんな暮らしがしたいか」を伝えることが重要です。

具体的な数字や形ではなく、暮らし方のイメージを共有することで、設計の自由度が生かされやすくなります。

間取りの考え方|暮らしやすさと将来性のバランス

間取りの良し悪しは、暮らしの快適さに直結します。

ただし、「オシャレさ」や「流行」に偏りすぎると、将来的に後悔することも少なくありません。

たとえば…

  • 小さな子どもがいる間は便利でも、成長すると使いにくい動線
  • 老後の生活に対応していない間取り
  • 家事動線が複雑で生活にストレスが溜まる

こうした失敗を防ぐには、「今の生活」と「未来の生活」の両方を意識した間取りづくりがポイントです。

また、収納スペースの確保・コンセントの位置・風通しや日当たりなど、見落とされがちなディテールにも気を配ることが大切です。

設備や仕様の選択で失敗しないために

キッチン・バス・トイレ・窓・床材・照明など、仕様を決める場面は数え切れないほどあります。

その一つひとつに「標準仕様」と「オプション」があり、どこまでこだわるかでコストが大きく変動します。

たとえば…

  • タンクレストイレにするかどうか
  • 食洗機の有無やグレード
  • 床暖房の範囲や採用の可否

これらの判断には、「暮らしに直結する部分はこだわる、そうでない部分は割り切る」という姿勢が大切です。

実際にショールームで体験し、自分たちの生活に本当に必要かを見極めましょう。


STEP5:住宅会社・工務店と契約する

工務店・ハウスメーカー・設計事務所の違い

住宅会社にはいくつかのタイプがあり、それぞれに特色があります。

  • ハウスメーカー:全国展開・品質が安定・工期が早いが、自由度がやや低め
  • 地域工務店:地元密着・柔軟な対応・価格交渉も可能な反面、担当者の力量差が出やすい
  • 設計事務所+施工業者:自由設計に強くデザイン性が高いが、費用と時間がかかる傾向

「どこで建てるか」によって家の出来栄えや住み心地が変わるため、自分たちのこだわり・予算・価値観に合った会社を選ぶことが大切です。

選び方の詳細は、注文住宅はハウスメーカーと工務店どちらが正解?違いと選び方を徹底比較ガイドのページをご覧ください。

契約の前に「比較検討」しておくべきこと

複数社に間取り・見積もりを依頼する「セカンドオピニオン」は、家づくりの鉄則です。

たとえ第一候補の会社が決まっていても、他社の提案を見ることで視野が広がり、価格や性能の妥当性が確認できます。

比較の際は、次のようなポイントを意識しましょう:

  • 同じ条件でプラン・見積もりを出してもらう
  • 提案力・説明のわかりやすさ・対応の誠実さ
  • 実際に建てた家の見学(完成見学会やOB訪問)

家づくりは「人と人との信頼関係」が非常に重要です。

価格だけでなく「この人たちと家づくりしたい」と思えるかどうかも判断基準に加えましょう。

契約書のチェックポイントとよくある落とし穴

いよいよ契約――ですが、その前に必ず確認しておきたいのが契約内容です。

よくあるトラブルの原因は、次のような点にあります。

  • 工事内容・使用部材・工期・金額が不明確
  • 変更時の費用増減の扱い
  • 中途解約やキャンセルの条件
  • 瑕疵担保責任・アフターサービスの範囲

口頭での説明やパンフレットに書かれていたことが、契約書に明記されていないケースもあるため、内容は細かくチェックしましょう。

どうしても不安な場合は、第三者の専門家にチェックしてもらうのも有効です。


STEP6:いよいよ工事が始まる(着工〜完成)

地鎮祭・上棟式など家づくりの儀式

工事が始まる前には、「地鎮祭(じちんさい)」と呼ばれる儀式を行うのが一般的です。

これは、土地の神様に工事の無事と家族の繁栄を祈る神事であり、施工会社の担当者や家族で執り行います。

また、建物の骨組みが完成したタイミングで行う「上棟式(じょうとうしき)」も、職人さんへの感謝を伝える大切な場です。

必須ではありませんが、地域の風習や自分たちの考え方に合わせて検討しましょう。

こうした儀式は、家づくりが「もの」ではなく「物語」であることを実感する大切な機会にもなります。

着工から完成までのスケジュール感

着工から完成までの期間は、建物の構造や規模、季節によって異なりますが、一般的には以下のような流れになります。

工程 目安期間
基礎工事 約1〜3週間
上棟(骨組み) 約1〜2週間
屋根・外壁工事 約1ヶ月
内装工事 約1〜2ヶ月
完成・引き渡し 全体で約4〜6ヶ月程度

ただし、天候や材料の遅れ、設計変更などで工期が延びることもあるため、余裕を持ったスケジュールを組んでおくと安心です。

工事中のトラブル・確認事項とその対処法

工事中に起こりうるトラブルや気になる点も事前に理解しておくことが大切です。

  • 予定と異なる施工(壁紙の色違い、窓の位置など)
  • ご近所への騒音・振動によるクレーム
  • 途中での仕様変更による追加費用

このような事態を避けるには、定期的な現場確認と施工管理者との密な連携が重要です。

可能であれば、週に1回ほど現場に足を運ぶことで、進捗状況や細かな施工のチェックができます。

また、ご近所へのあいさつは、工事開始前に済ませておくと印象もよく、トラブル回避につながります。


STEP7:引き渡しと入居後のチェックポイント

完成後の最終チェックと引き渡しの流れ

建物が完成すると、いよいよ「完成検査」と「引き渡し」が行われます。

引き渡し時には、図面通りに施工されているか、仕上がりに問題がないかを最終チェックする必要があります。

具体的には以下の点に注目します:

  • 壁紙やフローリングに傷・汚れはないか
  • 建具や窓がスムーズに開閉するか
  • 水道・電気・ガスが正常に使えるか
  • 収納・照明の設置ミスや忘れはないか

問題がある場合は「引き渡し前に補修」を依頼し、すべてが納得できたうえで書類にサインしましょう。

新居に引っ越した後にするべきこと

引っ越し後も、やるべきことはまだいくつかあります。

  • 住民票の移動
  • 水道・電気・ガスの名義変更
  • 住宅ローン控除の手続き
  • 各種保険の見直し
  • ご近所へのあいさつ

また、入居後しばらくしてから気づく不具合もあるため、「点検リスト」を作成しておき、気になることは施工会社に相談しましょう。

入居後のアフターサービスやメンテナンス体制を確認

住宅会社には「定期点検」「保証制度」「アフターサービス」の体制があります。

たとえば…

  • 1年目、2年目、10年目などの定期点検
  • シロアリ保証、雨漏り保証など
  • 無償・有償の修繕対応

これらの保証内容や期限を把握しておくことで、将来的なトラブルにも冷静に対応できます。

特に、長期優良住宅の認定を受けている場合、定期的な点検とメンテナンスは義務にもなっているため注意が必要です。


まとめ|「家を建てたい」気持ちが行動に変わるとき

「家を建てたい」と思った瞬間は、誰にとってもワクワクと同時に不安が伴うものです。

けれど、今回ご紹介した7つのステップに沿って考えていけば、確実に一歩ずつ前に進んでいくことができます

振り返ってみましょう。

  1. 検討:理想の暮らしを言語化する
  2. 資金:無理のない予算を立てる
  3. 土地:建てたい場所を決める
  4. 設計:間取りや仕様に想いを込める
  5. 契約:信頼できる会社と約束を交わす
  6. 建築:家が少しずつ形になる
  7. 入居:家族の新しい日常が始まる

家づくりに「正解」はありません。

あなたと家族にとっての最適解を、時間をかけて見つけていく旅なのです。

焦らなくて大丈夫です。

必要なのは、たった一つの小さな行動

それが資料請求でも、モデルハウスの見学でも、このページを保存することでもかまいません。

「いつか家を建てたい」ではなく、「今日、ひとつ動いてみよう」と思えたなら、それが家づくりの第一歩です。


よくある質問(FAQ)

Q. 家を建てるのに最初にするべきことは?

A. 最初にすべきなのは、「どんな暮らしがしたいか」を家族で話し合うことです。

具体的な間取りや広さよりも、価値観や理想の生活スタイルを共有することで、家づくりの軸が見えてきます。

Q. 土地と建物、どちらを先に考えればいい?

A. 一般的には土地が先ですが、「どんな家を建てたいか」をイメージしてから土地を選ぶとミスマッチを防げます

設計と土地探しを同時並行で進めるのが理想的です。

Q. 住宅ローンはいつ、どうやって決めればいい?

A. 建築会社との契約が近づいてきた段階で、具体的な住宅ローンの申請を進めます。

ただし、事前審査はもっと早い段階から受けておくことで、資金計画が立てやすくなります。

Q. 家づくりでよくある失敗とその回避法は?

A. よくある失敗例は、「予算オーバー」「間取りの後悔」「動線が悪い」などです。

第三者の意見を取り入れたり、モデルハウスで生活動線を確認することで、事前に気づくことができます。


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