SDGsとISO14001・9001の関係とは?企業価値を高めるISO認証取得のススメ

SDGs・ESG経営が求められる時代に

昨今の企業経営において、もはや避けて通れないのがサステナビリティ対応です。

投資家からのESG評価や、取引先からの環境・社会配慮に関する確認事項、さらには消費者からの透明性ある情報開示の要請など、企業活動のあらゆる側面において、これまで以上に社会的責任が問われるようになってきました。

特に「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉は、国連主導で世界的に推進されているものであり、企業にとっても避けては通れない重要な視点となっています。

2015年の国連総会で定められたこの17の目標は、政府やNPOのみならず、あらゆる民間企業の活動にも密接に関係しています。

社会的価値の創出に貢献できる企業であるかどうかが、今や事業継続性を左右する時代に入っているのです。

こうした背景のもと、企業は経済的価値(利益)だけでなく、非財務的価値??つまり環境・社会への配慮やガバナンス(ESG)のあり方においても高い評価を得ることが求められます。

そのためには、表面的な取り組みやスローガンでは不十分であり、実効性があり第三者による信頼性の高い仕組みを構築する必要があります。

このとき有効な手段のひとつが、ISO認証の取得です。

特にISO14001やISO9001といった国際規格は、SDGsと重なるテーマを数多く含んでおり、企業のESG活動を“見える化”するための重要なツールとなります。

SDGsとISOの関係|認証が果たす役割とは?

そもそも、ISOとは「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」が定めた国際的な基準のことを指します。

品質・環境・労働安全・情報セキュリティなど、多様な分野でのマネジメントシステム規格が存在しており、それを取得・運用することで、組織の管理能力や社会的信頼性を証明することができます。

ISOの中でも特にSDGsとの関連が深いのが、ISO14001(環境マネジメント)と、ISO9001(品質マネジメント)です。

これらは単に社内の運用改善や生産性向上を図るだけでなく、持続可能な社会づくりへの企業貢献という視点でも非常に重要な意味を持ちます。

例えば、SDGsには「目標13:気候変動に具体的な対策を」「目標12:つくる責任 つかう責任」など、環境や生産活動に関する目標が多く含まれています。

ISO14001を導入することで、廃棄物の削減CO2排出量の管理といった取り組みを継続的に改善し、これらのSDGs目標の達成に実質的に寄与することができます。

また、ISOは取得するだけでなく、その後の運用や改善が求められるため、継続的な環境配慮や品質向上のPDCAサイクルが自然と社内に根づいていきます。

これは、企業文化としてのサステナビリティを育てていくうえで非常に効果的な枠組みとなります。

ISO14001とSDGs|環境への取り組みの見える化

ISO14001は、環境マネジメントシステム(EMS)の国際規格であり、企業が環境への影響をコントロールし、継続的に改善していくための枠組みを提供します。

取得企業は、法令順守はもちろんのこと、温室効果ガスの削減・廃棄物の最小化・省エネルギー化といった環境負荷軽減の取り組みを社内ルールとして明文化し、それを実行していく責任を持ちます。

このことは、SDGsのうち以下のような目標と直接的に関係します。

  • 目標13「気候変動に具体的な対策を」:ISO14001によるGHG(温室効果ガス)排出管理と削減計画が該当
  • 目標12「つくる責任 つかう責任」:資源循環型の仕組みづくり、廃棄物管理、グリーン調達
  • 目標15「陸の豊かさも守ろう」:土壌・水質への配慮、化学物質使用の管理

ISO14001を取得しているという事実は、それ自体が「当社は環境への責任を果たしています」という対外的な証明になります。

特に環境問題への関心が高い欧州市場では、サプライチェーンとして選ばれるための前提条件としてISO14001が挙げられることも珍しくありません。

さらに、ISO14001は、企業単体での運用だけでなく、グループ全体・取引先への展開も可能な枠組みです。

CSR・広報担当として「我が社はどのようにサステナビリティへ貢献しているか」を語る際にも、ISO14001のフレームがあることで具体的な実績を示すことができます。

ISO9001とSDGs|品質を通じた社会課題への貢献

次に注目すべきは、ISO9001(品質マネジメントシステム)です。

これは単に「良い製品を作る」ことだけでなく、「顧客満足」と「継続的改善」を通じて社会的信頼を構築するための仕組みとして設計されています。

この規格は、以下のSDGs目標と親和性があります。

  • 目標8「働きがいも経済成長も」:業務の標準化・従業員の教育・技能の向上
  • 目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」:技術力の安定・新製品開発のための基礎構築
  • 目標12「つくる責任 つかう責任」:不良品削減・製品ライフサイクル管理

ISO9001は「品質=社会貢献」という文脈で活用できます。

特に、サプライチェーンの中核にいる企業が取得することで、全体の品質保証の信頼性を高めることができ、ひいては消費者保護や製品安全にも貢献することとなります。

ISO取得が企業広報・IRに与えるインパクト

ISO認証は、単なる「社内管理体制の強化」にとどまりません。

実はそれ以上に、企業の広報戦略やIR(投資家向け広報)活動に大きな効果をもたらします。

とりわけSDGs・ESGへの対応が問われる現在において、ISO取得の有無は企業評価に直結する要素となっています。

近年、上場企業を中心に「統合報告書」や「サステナビリティレポート」の作成が常態化しています。

こうした報告書では、財務情報に加え、環境への取り組み・人権配慮・サプライチェーン管理などの非財務情報が開示されており、その信頼性を裏付ける証拠として活用されるのがISO認証なのです。

たとえば、ISO14001を取得していれば、「温室効果ガス削減に向けて具体的な目標を設定し、監視・測定・改善を継続している」と明記することができます。

また、ISO9001があれば「顧客満足度の向上のため、品質に関するPDCAサイクルが社内に根付いている」とアピールできます。

これは企業が単なるスローガンではなく、実態のある行動をしていることの証明になります。

さらに、ESGに関心を持つ投資家や金融機関にとっても、ISO取得は審査・投資判断の大きな材料になります。

とりわけ「E(環境)」に関しては、ISO14001が第三者的な裏付けとなるため、特定の投資信託や資金調達の条件として求められることもあります。

広報活動においても、ISO認証の取得は効果的です。

採用サイトやパンフレット、プレスリリースなどでの「ISO取得済み」の記載は、企業の信頼性や堅実な経営姿勢を伝える重要なメッセージとなります。

特にSDGsに関心のある若年層や転職希望者に対しては、「サステナビリティに取り組む会社」という印象を強く残すことができ、採用ブランディングにも寄与します。

このように、ISO取得は社内外の広報・IR活動を一段と強化するための基盤となり得るのです。

CSR担当者・広報部門が知っておくべきISO導入プロセス

ISO取得を検討する際、CSR担当者や広報部門の方がまず知っておくべきことは、ISOが「外部評価を得るための手段」であると同時に、「社内体制の整備・意識改革のプロセス」でもあるという点です。

多くの企業が誤解しがちなのは、「ISO認証=書類作成」だと思っていること。

しかし実際には、業務の棚卸し・現場との連携・内部教育など、全社的な取り組みが必要です。

経営層の理解とトップダウンの支援がなければ、現場に根づいた運用は実現しません。

ISO導入の流れは以下のようになります:

  1. 現状把握と課題の洗い出し
  2. 規格の選定(例:ISO14001、9001、27001など)
  3. 導入プロジェクトチームの発足
  4. 方針策定・マニュアル作成・教育訓練
  5. 内部監査・マネジメントレビューの実施
  6. 審査機関による外部審査(初回・定期)
  7. 認証取得・維持審査への対応

このプロセスには、半年?1年程度かかるのが一般的です。

特にSDGsやESGの文脈でISO取得を活用したい場合は、単に形式的な取得にとどまらず、「どの目標に、どのように貢献するか」を明確にし、それを情報発信に結びつける戦略が求められます。

なお、社内での運用が難しい場合は、ISO取得支援サービスを利用するのも有効です。

外部の専門家に相談することで、スムーズな導入と審査対応が可能になるだけでなく、社内工数の削減書類作成の負担軽減にもつながります。

ISO取得は終わりではなく始まり|持続可能な運用体制へ

ISO認証の取得はあくまで「スタートライン」に過ぎません。

むしろ重要なのは、その後の運用・維持・改善活動です。

ISOには通常、毎年の定期審査および3年ごとの更新審査があり、形骸化した運用では認証の維持ができません。

そのため、現場の理解・ルールの見直し・記録の整備などを継続的に行う必要があります。

この持続的な改善こそが、ISOを通じて「真に信頼される企業」を目指すうえで不可欠な要素なのです。

また、継続的な運用によって得られる定量データ(CO2削減量、不良率の変化など)は、SDGs・ESGレポートの根拠としても活用できます。

さらに、ISOの運用は単なる社内ルールづくりではなく、企業文化や従業員の意識を変える手段にもなります。

定期的な内部監査やマネジメントレビューを通じて、社員一人ひとりが「自分の業務が会社全体や社会にどのような影響を与えているか」を考えるようになります。

これは、SDGs経営を推進するうえで非常に重要な要素です。

SDGsとISOを両立するための支援サービスの活用法

ISOの認証取得は、環境対策や品質管理の向上だけでなく、SDGs・ESGの取り組みを可視化するための有効なツールです。

しかしその一方で、「自社で本当にうまく導入できるのか」と不安を感じる企業も少なくありません。

特に中小企業や、社内リソースが限られている広報・CSR部門にとっては、規格の選定やマニュアル作成、審査対応といった作業が大きな負担になることもあります。

そこで注目されているのが、ISO取得支援サービスの活用です。

こうしたサービスを利用することで、初めてのISO取得でもスムーズに導入を進めることが可能になります。

支援サービスでは、以下のようなサポートが提供されます:

  • 規格選定のアドバイス(ISO9001/14001/27001/SDGs対応型など)
  • 初回ヒアリングと現状分析による課題の明確化
  • マニュアルや規定類の作成支援
  • 内部監査の代行または伴走指導
  • 審査対応に向けた模擬審査・書類チェック
  • 取得後の運用支援・維持審査サポート

また最近では、「SDGsに対応したISO取得」に特化したプランを提供する支援企業も増えてきました。

これは単に認証を取るだけでなく、自社の事業とSDGs目標との整合性を整理し、報告書作成・広報資料への展開までを含めた支援が受けられるものです。

たとえば、SDGs目標12(つくる責任 つかう責任)との連携を強調した運用マニュアルや、社外向けにわかりやすく解説したパンフレット資料の作成などが含まれます。

さらに、地方自治体や中小企業庁などが提供している補助金・助成金制度を活用することで、コスト負担を抑えながらISO取得を実現することも可能です。

「ものづくり補助金」「経営力向上計画」など、ISO取得を含む事業改善計画は支援対象になりやすいため、専門家に相談しながら申請するのが成功の鍵です。

中小企業やこれまでISOに触れてこなかった業種であっても、“ESG対応企業”という立ち位置を明確に打ち出すことで、大手との取引機会の拡大や新規採用力の向上など、目に見える成果が期待できます。

その第一歩として、信頼できる支援サービスの利用を検討することは、大きなメリットにつながるといえるでしょう。

まとめ|SDGs・ESGを“見せる力”としてのISO認証

本記事では、SDGs・ESGの観点からISO認証の意義を再確認し、特にISO14001・ISO9001が果たす役割について掘り下げてきました。

あらためて強調したいのは、ISO認証が単なる内部管理の枠組みにとどまらず、企業の価値や信頼性を社外に伝える“証拠”としての力を持っているという点です。

とくに広報・CSR・IR部門にとって、ISOの存在は「サステナブルな経営をしている」という主張に具体性を持たせ、外部ステークホルダーへの説明責任を果たすための重要な材料となります。

SDGsに対する取り組みを単なるスローガンで終わらせず、実効性を持って発信していくためには、ISOのような第三者認証の仕組みが欠かせません。

また、ISOは「取ったら終わり」ではなく、「使い続けて意味を持つ」ツールです。

定期的な見直しや改善活動を通じて、企業の内部体制・社員の意識・業務品質が変わっていくというプロセス自体が、まさに持続可能な経営に他なりません。

そして、そうした継続的な取り組みを“見える化”して社外に伝えていくことが、現代の企業にとってますます重要になっています。

ISOの認証取得は、その第一歩として、そして長期的な信頼構築の基盤として、大きな意義を持っています。

企業として社会にどう貢献するか??この問いに真摯に向き合うCSR担当者・広報担当者にとって、SDGs×ISOという組み合わせは、最も現実的かつ強力な戦略になり得るのです。

よくある質問(FAQ)

SDGsとISOの関係とは何ですか?

ISO14001やISO9001といったマネジメントシステムは、SDGsの各目標と深い関連があります。

たとえば、ISO14001は目標13(気候変動への対策)や目標12(つくる責任 つかう責任)への貢献として活用されます。

ISO認証を取得すると、どのような広報効果がありますか?

ISO認証は、企業の信頼性やESGへの対応力を第三者視点で証明するものです。

統合報告書やCSRレポート、採用・営業資料において説得力のあるメッセージとして活用できます。

ISO認証の取得にはどれくらいの期間がかかりますか?

一般的に6か月から1年程度が目安です。

ただし、企業の規模や準備状況、支援サービスの有無によって期間は変動します。

ISOとSDGsを一体的に進めるための支援サービスはありますか?

はい、近年ではSDGsとの整合性を意識したISO取得支援サービスが増えています。

文書作成支援だけでなく、SDGsレポートとの連動や助成金申請のサポートも受けられるケースがあります。

ISO取得は中小企業にもメリットがありますか?

あります。

取引先や金融機関からの評価向上、補助金申請時の加点、内部業務の標準化といった面で中小企業にとっても大きなメリットがあります。

全国のISO規格取得支援サポート

▼地域ごとのISO規格取得支援サポートの情報はこちらから

全国で利用できるバーチャルオフィス

▼地域ごとの利用できるバーチャルオフィスの情報はこちらから

全国の起業の情報

▼地域ごとの起業の情報はこちらから

全国の個人事業主の法人化の情報

▼地域ごとの利用できる個人事業主の法人化の情報はこちらから

全国で利用できるQRコード決済とキャッシュレス決済のPOSレジ

▼地域ごとのQRコード決済とキャッシュレス決済のPOSレジの情報はこちらから

全国で利用できる勤怠管理システム

▼地域ごとの勤怠管理システムの情報はこちらから

全国のファクタリング業者

▼地域ごとのファクタリングの情報はこちらから

全国の税理士を探す

▼地域ごとの税理士の情報はこちらから