正常な受精

正常な受精

精子のように自力で動けない卵子は、周期的に一つずつ、卵管へ運びだされます。正常な精子が子宮口から卵管まで到達する為には、およそ2~4時間ほどかかると言われています。ちなみに、卵管まで到達できる精子の数は、本来が約1000万とすると、およそ1000に減ります。時速2~3メートルの速度で、選ばれた正常な精子だけが卵子と受精する可能性があります。卵子の大きさは約0.2mm。たらこの一粒ほどの小ささの卵子に、更にその10分の1以下の小ささの精子が一斉に群がります。精子の頭からは酵素が排出され、卵子を覆っている硬い膜を溶かしにかかりますが、それを溶かしきって穴を開けられるのはたった一つの精子だけ。卵子と受精した後は、すぐにその膜は再び閉ざされ、細胞分裂を繰り返すようになります。

このように改めて見てみると、正常な受精に辿り着くまでには、精子と卵子がそれぞれ健康で正常な状態であることが、とても重要になってくることが分かるのではないかと思います。また、卵子は排出されてから生存できるのがたった24時間。タイミングによってはどんなに精子が頑張っても、弱ってしまった卵子では受精に至らなかったり、また、高齢で卵巣の機能が低下してしまったりと、様々な要因によって受精が難しくなることが考えられます。不妊治療を始める前に、一つ一つの原因を探っていくと、思いがけず小さな原因がいくつも積み重なっていることに気付くかもしれません。正常な受精へ向けて一歩ずつ努力していきましょう。