離婚の手続き完全ガイド|離婚届の書き方と出し方から必要書類と注意点も解説

- 離婚届の入手方法と提出先の基本
 - 離婚届の「書き方」全体像
 - 夫婦の情報欄の書き方|基本情報の記入ポイント
 - 親権者欄の書き方|子どもがいる場合の記載方法
 - 証人欄の書き方|2名の署名と押印が必要
 - その他の欄の書き方|注意すべき記入項目
 - 離婚届の出し方と必要なもの
 - 離婚届が受理されないケースとその対処法
 - 離婚に関するよくある質問
 
- 離婚の財産分与で「持ち家」はどうする?ローン・名義・売却の注意点を徹底解説
 - 子どもがいる場合の離婚と親権のすべて|後悔しないために知っておくべき選択と変わる制度のポイント
 - 離婚の話し合いがまとまらないときは?調停離婚から裁判離婚への流れをわかりやすく解説
 - 離婚で慰謝料はもらえる?請求の条件・相場・もらえないケースまで徹底解説
 - 離婚したいと思ったときに読むページ|迷い・準備・後悔しないための心構えと考え方
 
離婚届の入手方法と提出先の基本

役所で直接もらう/ネットでダウンロード
離婚届は、全国どこの市区町村役所でも入手可能です。
窓口で「離婚届がほしい」と伝えれば、無料でもらうことができます。
また、一部自治体や法務省の公式サイトでは、PDF版をダウンロードできる場合もあります。
ただし、用紙のサイズや色に指定がある自治体もあるため、提出前に役所での確認が安心です。
提出先は本籍地または所在地の市区町村役所
離婚届は、以下のいずれかの市区町村役所に提出可能です:
- 夫または妻の本籍地
 - 夫または妻の所在地(住民登録地や一時滞在地)
 
たとえば別居中でも、それぞれの住所地の役所で提出できます。
本籍地でなくても構わないというのは、あまり知られていないポイントかもしれません。
平日・休日・夜間の提出はできる?
役所の窓口が開いていない時間帯でも、夜間受付や休日窓口(時間外窓口)で提出することが可能です。
時間外の提出は「預かり扱い」になることがあり、後日内容が確認されてから正式に受理される仕組みになっています。
そのため、不備があると受理されず、再提出が必要になるケースも。
とくに時間外提出を予定している場合は、事前に窓口で記入内容のチェックを受けておくのがおすすめです。
離婚届の「書き方」全体像

用紙のレイアウトと全体の記入欄の確認
離婚届はA3サイズの見開き用紙で、左側に記入欄、右側に提出先の役所が記入する欄があります。
記入する欄は、夫婦の情報、子どもがいる場合の親権者、証人欄など多岐にわたります。
一見シンプルに見えても、1カ所のミスが提出のやり直しにつながるため、まずは全体像を把握しておくことが大切です。
役所でもらった離婚届は原本のため、いきなり書き始めるのではなく、コピーを取って練習用に使うのも一つの方法です。
また、提出先の役所で記入例を配布している場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
どこから書く?下書き用コピーの活用も
記入順は決まっていませんが、まずは夫婦それぞれの情報(氏名・住所・本籍地)から始めるとスムーズです。
その後、親権や証人欄などの共同確認が必要な項目を埋めていきましょう。
下書きを用意することで、戸籍上の正確な情報や旧姓などを間違えずに転記できます。
特に戸籍の本籍地や筆頭者欄は、普段使う機会が少ないため記入ミスが起こりがちです。
黒のボールペンで書く/修正液はNG
離婚届は正式な公文書です。
必ず黒のボールペンまたは万年筆で記入し、消えるインクは使用禁止です。
間違えたときに修正液や修正テープを使うのもNG。
訂正は二重線+訂正印で行いましょう。
修正した箇所が多すぎると、役所によっては受理を拒否されることもあります。
その場合、書き直した新しい離婚届を用意しなければなりません。
1枚だけでなく、複数枚もらっておくのがおすすめです。
夫婦の情報欄の書き方|基本情報の記入ポイント

氏名・生年月日・住所・本籍地の正確な記入
まず記入するのは、夫婦それぞれの「戸籍上の氏名」「生年月日」「住所」「本籍」です。
ここでの「氏名」は、婚姻中の姓(婚姻後の氏)で記入します。
たとえば、結婚時に夫の姓になった場合は、離婚届にもその姓を使います。
「住所」は住民票上の表記で書く必要があるため、建物名や部屋番号も正確に記入しましょう。
また、「本籍地」と「現住所」が異なるケースも多いため、戸籍謄本を確認して本籍地を誤記しないよう注意が必要です。
旧姓・新姓に関する選択の注意点
離婚後に姓をどうするかも、重要なポイントです。
女性が結婚時に改姓していた場合、離婚後もその姓を名乗り続けるのか、旧姓に戻るのかを選べるのが特徴です。
離婚届の中に「婚姻の際に称していた氏を称する届出を別にする意思があるかどうか」を問う欄があります。
ここで「称しない」にチェックを入れると、旧姓に戻ることになります。
離婚届とあわせて「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」を提出すれば、旧姓に戻らずそのままの姓を使い続けることも可能です。
ただし、この届け出は「離婚届を出してから3か月以内」が期限のため注意しましょう。
誤記を防ぐために事前に戸籍謄本を確認
本籍地が遠方だったり、離婚後に別の場所で手続きする場合は、事前に戸籍謄本を取り寄せておくとスムーズです。
本籍地以外の市区町村に離婚届を出す場合、戸籍謄本の添付が必要なケースもあります。
また、「筆頭者」が誰になっているかで記入欄も異なってくるため、戸籍の記載内容に自信がないときは、先に確認しておくことがミスを防ぐ第一歩です。
親権者欄の書き方|子どもがいる場合の記載方法

親権をどちらが持つかの明記が必須
協議離婚の離婚届において、未成年の子どもがいる場合は「親権者」を必ず記入しなければなりません。
これは離婚の条件ではなく、「離婚の成立に必須の記載事項」として扱われており、空欄では受理されないため注意が必要です。
「父」または「母」のいずれかを選び、その者が親権を持つという意思を、夫婦が合意したうえで記載します。
ここで夫婦の意見が分かれた場合は協議離婚が成立せず、家庭裁判所での調停または審判に進むことになります。
子どもの人数が複数いる場合の書き方
意外と知られていないのが、子どもが2人以上いる場合、それぞれに親権者を分けることができるという点です。
ただし、実務上は兄弟姉妹の親権を分けることは慎重に検討されるべきで、児童相談所や家庭裁判所の関与があることもあります。
離婚届には「子の氏名」と「親権者」がセットで記入されるため、一人ずつ、誰が親権を持つか明確に記入しましょう。
「子の氏名が欄に入りきらない場合は、別紙を添付する」など、柔軟な対応も認められています。
親権を空欄にするとどうなる?
「とりあえず出して、あとから親権のことを決めよう」と考える方もいるかもしれませんが、親権者欄が空欄のままでは、離婚届は受理されません。
つまり、親権者を決めない限り、協議離婚は成立しないということです。
また、親権を持たない側が「まったく子と関われなくなる」というわけではありません。
面会交流権(子どもに会う権利)や養育費の話し合いは、親権とは別の議論になります。
あくまで、「法律上の保護者」としてどちらが責任を負うかを示すのが親権であることを理解して記入しましょう。
証人欄の書き方|2名の署名と押印が必要

証人になれるのは誰?成人なら親族でも友人でも可
協議離婚の離婚届には、成人2名の証人の署名と押印が必要です。
これは、「夫婦が合意のうえで離婚届を提出した」という事実を、第三者が確認したことを証明するための制度です。
証人には、友人・上司・兄弟姉妹・親・知人など、成人であれば誰でもなることが可能です。
公的な資格や特別な立場は不要です。
夫婦のどちらかにとって信頼できる相手であれば十分です。
証人の氏名・生年月日・住所・本籍地を記入
証人欄には次の内容をそれぞれ記入してもらう必要があります:
- 氏名(戸籍上の正式な表記)
 - 生年月日(西暦・和暦は役所により指定あり)
 - 現住所(住民票通りに)
 - 本籍地(都道府県名から)
 
さらに、印鑑の押印も必要です。
シャチハタは不可で、認印(朱肉で押すタイプ)であればOKです。
もし住所や本籍地がわからない場合は、事前に証人に確認しておくとスムーズです。
証人が遠方にいる場合の対応(郵送など)
証人が離れた地域に住んでいる場合でも、離婚届を郵送して署名・押印してもらうことが可能です。
その場合、記入済みの離婚届を送る→署名・押印して返送してもらうという流れになります。
ただし、郵送中の紛失や書き損じのリスクを考慮し、予備の離婚届を数枚送っておくと安心です。
また、証人に記入してもらう際は、記入例や書き方メモを添えて送ると、相手も迷わず書けるでしょう。
その他の欄の書き方|注意すべき記入項目

別居の有無/同居開始日などの書き方
離婚届には、「同居を始めた日」「別居を始めた日」などを記入する欄があります。
これらは戸籍に記載される内容ではありませんが、行政の内部で参考にされることがあります。
たとえば、婚姻期間の統計や、後日の公的照会の際の情報として使われる可能性があります。
正確な日付がわからない場合は、夫婦で話し合って「おおよその日」を記入しても構いません。
届出人署名・押印欄に関するミスが多い
届出人の署名欄では、夫婦それぞれが自筆で署名し、押印する必要があります。
自筆でないと受理されないため、第三者が代理で記入することは不可です。
また、印鑑は婚姻中の姓で登録されているものを使うのが原則です。
印影が不鮮明な場合、役所によっては押し直しを求められることもあるため、鮮明に押すことを意識しましょう。
間違えた場合の訂正方法(訂正印の使い方)
間違えたときには、該当箇所を二重線で消し、訂正印を押して正しい内容を上に書くのがルールです。
この訂正印は、間違えた人が押す必要があります。
たとえば妻が書いた欄を間違えたなら、妻自身の印鑑で訂正する必要があります。
間違いが多い場合は、新たな離婚届を使い直した方がスムーズな場合もあります。
時間外窓口での提出時は、訂正の判断が翌日になることもあるため、事前に窓口で内容チェックをしておくのが理想です。
離婚届の出し方と必要なもの

必要書類(本人確認書類・印鑑など)
離婚届を提出する際は、記入済みの離婚届だけでなく、本人確認書類や印鑑など、いくつかの書類や持ち物が必要です。
基本的には以下のものを準備しておきましょう:
- 記入済みの離婚届(証人欄も含めすべて完成していること)
 - 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
 - 印鑑(届出人それぞれのもの)
 - 戸籍謄本(本籍地以外で提出する場合のみ必要)
 
本籍地以外の役所に提出する際には戸籍謄本の添付が必須となりますので、あらかじめ郵送で取り寄せておくと安心です。
また、提出時の持ち物については、自治体ごとに若干の違いがあるため、念のため提出予定の役所に電話やWebで確認するのが確実です。
窓口での提出手順|本人または代理でも可
離婚届の提出は、夫婦そろってでなくても問題ありません。
どちらか一方が役所の窓口に出向いて提出することができます。
受付では、窓口の担当者が内容を確認し、記入ミスや不備がないかをチェックしてくれます。
万が一、印鑑を忘れた場合や訂正箇所があるときに備え、印鑑と身分証明書は必ず持参しましょう。
代理人による提出も可能ですが、必ず署名・押印が済んでいる離婚届が必要です。
また、代理人が記入を代行することはできませんので、記入済みであることを確認してから託しましょう。
提出後にトラブルを防ぐための控えの保管
離婚届は提出すると役所に保管され、自分たちの手元には戻ってきません。
そのため、提出前に必ずコピーをとっておくことをおすすめします。
また、役所によっては「受理証明書」や「届出済証明書」といった書類を発行してもらうことができます。
これらは、氏の変更手続きや各種名義変更の際に必要となることがあるため、窓口で希望すればその場で発行してくれることが多いです(有料)。
離婚届が受理されないケースとその対処法

記入ミス・証人不備・押印漏れなど
離婚届は、1つでも不備があると受理されないという点に注意が必要です。
よくある不受理の原因は以下の通りです:
- 氏名や本籍地の誤記
 - 押印が漏れている、または不鮮明
 - 証人欄の記入漏れ
 - 日付の記入が未来日になっている
 - 親権者欄が空欄
 
提出したその場で役所に指摘されることがほとんどですが、時間外受付などでは翌日に不備が判明するケースもあります。
そのため、可能であれば事前に平日窓口で内容をチェックしてもらうことを強くおすすめします。
不受理申出制度に注意|勝手に出されない対策
「自分の知らないうちに離婚届を勝手に出されていたらどうしよう…」と不安になる方もいらっしゃいます。
そんなときは、「離婚届の不受理申出」制度を活用することで対策が可能です。
この申出をしておくと、本人の意思確認なしに離婚届が受理されることはありません。
申出は役所の窓口で無料で行え、有効期限はなく、取り下げをしない限りずっと有効です。
離婚を考えているけれど、相手が先に一方的に提出してしまいそう…といった場合には、この制度が心強い防御策になります。
やり直しになった場合の再提出方法
不備によって離婚届が受理されなかった場合、再提出することはもちろん可能です。
ただし、その場合も証人欄や署名欄はすべて書き直しになるため、用紙は新たに準備しましょう。
なお、訂正では済まされない範囲のミス(署名や証人の誤記など)があると、訂正印だけでは不十分です。
できれば提出前に役所で「事前確認」をお願いしておくことで、再提出の手間を防ぐことができます。
離婚に関するよくある質問

Q. 記入例はどこで確認できますか?
A. 離婚届の記入例は、市区町村の役所で配布していることが多く、窓口で「記入見本がほしい」と伝えるとすぐに手に入ります。
また、多くの自治体では公式ホームページでPDF形式の記入例を掲載しており、自宅で事前に確認することも可能です。
ただし、自治体によって微妙に運用ルールが異なるため、記入方法に迷ったら提出予定の役所に直接相談するのが確実です。
Q. 離婚届の証人がどうしても見つかりません
A. 協議離婚では、成人2名の証人が必須とされていますが、家族や友人などが頼めない場合は、行政書士や司法書士などに有料で依頼することも可能です。
また、結婚当初の証人とは別の人でも問題ありません。
証人はあくまで「離婚の合意があったことを確認する第三者」であり、特別な責任や負担が発生するものではありません。
証人になってくれる方がいないからといって、離婚できないわけではないので、専門家の力を借りる選択肢も検討してみてください。
Q. 提出後に気が変わったら取り消せますか?
A. 離婚届は、役所に受理された時点で法的に「離婚が成立」します。
つまり、提出後に「やっぱりやめたい」と思っても、取り消すことはできません。
提出直後であっても、「まだ未受理の状態」であれば引き戻せる可能性はありますが、受理されたあとの撤回は認められていません。
離婚届を出す前には、冷静に、そして確実な意志を持って判断することが大切です。
- 離婚の財産分与で「持ち家」はどうする?ローン・名義・売却の注意点を徹底解説
 - 子どもがいる場合の離婚と親権のすべて|後悔しないために知っておくべき選択と変わる制度のポイント
 - 離婚の話し合いがまとまらないときは?調停離婚から裁判離婚への流れをわかりやすく解説
 - 離婚で慰謝料はもらえる?請求の条件・相場・もらえないケースまで徹底解説
 - 離婚したいと思ったときに読むページ|迷い・準備・後悔しないための心構えと考え方
 - 離婚の手続き完全ガイド|離婚届の書き方と出し方から必要書類と注意点も解説
 















