キッチンカーで起業・独立するには?開業手続き・許可・初期費用まで完全ガイド

キッチンカーで起業・独立するには?開業手続き・許可・初期費用まで完全ガイド



「いつかは自分の店を持ちたい」を叶えるキッチンカーという選択肢

コロナ禍以降、ライフスタイルや働き方の多様化が進むなかで、飲食業の新たな形として注目を集めているのが「キッチンカー(移動販売)」です。

店舗を持たずに低コストで始められることから、副業として始める人もいれば、脱サラして本格的に独立する人も増えています。

特に都市部では、ランチ難民をターゲットにしたオフィス街出店や、イベントやマルシェへの参加など、出店場所によって戦略を変えられる柔軟性があります。

さらに、地方においても「お店がないエリアにサービスを届ける手段」として、地域密着型ビジネスとしての価値も高まっています。

とはいえ、キッチンカーはただ車を用意すれば簡単に始められるというわけではありません。

営業許可の取得や、保健所の基準出店場所の交渉など、通常の開業とはまた違った準備が必要になります。

また、収益を安定させるには、商品力立地選びリピーター獲得の工夫も欠かせません。

この記事では、キッチンカーでの独立・起業を目指す方に向けて、開業に必要なステップから許可手続き、費用感、営業ノウハウまでを徹底的に解説していきます。


キッチンカー開業に必要な基本ステップ

まずは、キッチンカーで起業するまでに必要な準備の全体像を整理しましょう。

おおよそ半年ほど前から動き出すのが理想的ですが、内容を把握しておけば短期間での開業も不可能ではありません。

1. 商品コンセプトを明確にする

どのような商品を売るかによって、必要な設備や許可が変わってきます。

たとえば、カフェ系(コーヒー・クレープ)と、ホットスナック系(唐揚げ・たこ焼き)では、調理方法も水の使用量も異なります。

コンセプトを絞ることで、開業後の迷いも減り、営業戦略にも一貫性が生まれます。

2. 事業計画書を作成する

キッチンカーといえども「事業」です。

開業資金の見積もりや収支シミュレーションをまとめた事業計画書は、資金調達にも必須となります。

自己資金でまかなう場合も、初期費用と運転資金を明確にすることで、安心してスタートを切ることができます。

3. キッチンカーの仕様と車両を選定

軽トラを改装した車両もあれば、本格的なバンタイプやトレーラー型もあります。

予算販売商品に応じて、必要な設備を備えた車両を選びましょう。

中古車を購入するケースも多く、車両選定は早めに動き出すのがベターです。

4. 保健所に相談して営業許可の準備

地域によって細かい設備基準が異なるため、事前に保健所へ相談しながら車両の改装を進めます。

申請や検査には日数がかかるため、こちらも早めの準備が重要です。

5. 出店場所を確保し営業計画を立てる

オフィス街、商業施設の敷地、イベント会場など、キッチンカーが出店できる場所はさまざまです。

出店先との契約や出店申請も、必要に応じて並行して進めましょう。


移動販売に必要な営業許可・手続きとは?

キッチンカーで食品やドリンクを販売するには、まず保健所から営業許可を取得しなければなりません。

許可なしで食品を販売すると、食品衛生法違反となり、営業停止や罰金などの重大なリスクを負うことになります。

特に開業が初めての方にとっては、この手続きの複雑さに戸惑うケースも多いため、ここでしっかりポイントを押さえておきましょう。

まず理解しておきたいのは、「移動販売車」は基本的に「食品営業自動車」として扱われるということです。

このため、固定店舗とは異なる設備要件が定められています。

代表的な要件は以下のとおりです:

  • 給水タンク・排水タンクがそれぞれ一定容量以上で設置されていること
  • 手洗い用と調理用のシンクが独立して設けられていること
  • 冷蔵・冷凍設備があること(生鮮品を扱う場合)
  • 車内にゴミ箱や清掃用具を備えること

さらに、営業許可の種類も販売する商品によって異なります。

たとえば、カレーライスやお弁当のように調理をともなう食品を提供する場合は、「飲食店営業許可」が必要です。

一方で、個包装されたお菓子を販売する場合は「菓子製造業許可」や「食品販売業許可」が適用されるケースもあります。

ここで注意したいのは、許可は原則として「営業拠点とする都道府県の保健所」から取得するという点です。

つまり、たとえば神奈川県で許可を取ったキッチンカーが、東京都で営業を行う場合は、事前に届け出や確認が必要になるケースがあります。

自治体ごとに判断が異なるため、出店予定エリアの保健所へ必ず事前相談をしておくことが安全です。

営業許可の取得には、申請から許可証の発行までおおむね2〜4週間程度かかります。

保健所による車両検査もあるため、設備の準備と申請スケジュールは逆算して計画しておきましょう。

また、営業許可とは別に、道路使用許可イベント主催者との出店契約が必要となる場面もあります。

キッチンカーは「どこでも勝手に営業できる」ものではなく、公共の場での営業には必ず関係機関の許可が求められますので、出店先のルールも事前に確認しておきましょう。


キッチンカーにかかる初期費用と運転資金の目安

キッチンカー起業の魅力のひとつは、比較的少ない資金で始められることです。

固定店舗に比べて家賃がかからず、初期費用が抑えられる一方で、「安いから簡単」と思い込むのは禁物です。

車両や設備、保険、開業準備など、見落としがちな出費も多くあります。

実際の初期費用は、車両の調達方法とメニュー内容によって大きく変動します。

以下はあくまで一例ですが、初期投資の内訳イメージをご紹介します。

項目想定費用
キッチンカー(車両+改装)100〜300万円
調理器具・備品20〜50万円
営業許可・申請費1〜5万円
仕入れ費用(食材・包装)5〜10万円
ラッピング・看板制作5〜20万円
開業広告・SNS施策5〜10万円
合計150〜400万円

なお、レンタルやリースによって車両費用を抑えることも可能です。

最近では、キッチンカー支援会社がパッケージ型で提供するケースも増えており、「車両+開業サポート+出店サポート」のセットを利用することで、安心してスタートできるという声もあります。

また、初期費用とは別に、数か月分の運転資金を手元に確保しておくことも重要です。

たとえば、売上が安定するまでの間の仕入れ費用やガソリン代、車両のメンテナンス費用などを考慮すると、30〜50万円程度は余裕資金として準備しておくのが理想的です。

資金面で不安がある場合は、創業融資(日本政策金融公庫など)の活用も視野に入れましょう。

提出用の事業計画書は丁寧に準備し、収支の見通しや販路計画を明示することが審査の通過に近づくポイントです。


実際に儲かるのか?キッチンカー経営の収支モデル

キッチンカーでの起業を検討するうえで、もっとも気になるのが「実際にどれくらい儲かるのか?」という点ではないでしょうか。

もちろん、売上や利益は出店場所、商品力、販売戦略によって大きく左右されますが、ここでは現実的なモデルケースをもとに収支の目安をご紹介します。

たとえば、オフィス街で平日ランチ営業を行うキッチンカーを想定してみましょう。

  • 客単価:800円
  • 1日あたりの来客数:50人
  • 1日の売上:800円 × 50人 = 40,000円
  • 営業日数:月20日

この場合、月間売上は約80万円となります。

ここから原価(材料費や容器など)を約30%とすると、粗利益は56万円。

そのほかの経費として、以下のような支出が見込まれます。

  • ガソリン代・車両維持費:2〜5万円
  • 出店料(場所により異なる):3〜10万円
  • 食材仕入れコスト:約24万円(売上の30%)
  • 雑費・備品・光熱関連(発電機等):1〜3万円
  • 広告宣伝費(チラシ・SNS広告):1〜3万円

このように、営業利益ベースで月10〜25万円程度が残るモデルが一般的です。

もちろん、これは黒字で回っているケースであり、売上が想定よりも伸びなかった場合や、イベントが悪天候で中止になるなどの事態が続くと、一時的に赤字になることもあります。

また、繁忙期には一日で10万円以上売り上げるケースもある一方、閑散期には数千円しか売れないことも珍しくありません。

こうした変動の大きさがキッチンカー経営の特徴でもあり、リスクヘッジと柔軟な営業戦略が求められます。

なお、副業として週末のみ営業するパターンであれば、売上は控えめになるものの、リスクも抑えられるため、経験を積むには適した方法です。

特にイベントやフェスティバル中心に出店する場合は、売上の波はあるものの単発で大きな利益が出る可能性もあるでしょう。

キッチンカー経営は、「毎月安定して儲かる」というよりも、「工夫と努力次第で利益を伸ばせる」タイプのビジネスです。

だからこそ、収支の可視化と継続的な改善がカギになります。


出店場所の選び方と営業戦略

キッチンカーの売上を大きく左右する要素のひとつが、出店場所の選び方です。

どれだけおいしい商品を用意しても、人通りのない場所やニーズの合わない場所で営業しても思うように売れません。

逆に、立地とターゲットが一致していれば、毎日安定して売上を作ることも可能です。

まず、出店場所は大きく分けて以下のようなタイプがあります:

  1. オフィス街やビジネスエリア(平日ランチが狙い目)
  2. イベント・マルシェ・フリーマーケット(週末や季節限定)
  3. 公園・観光地・サービスエリア(歩行者や観光客が多い)
  4. 住宅街・地域密着型のスペース(リピート重視)

これらの場所にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

たとえば、オフィス街でのランチ営業は、平日に安定した売上を確保しやすい一方で、競合が多く場所の確保が難しいという現実があります。

また、イベント出店は1日で数十万円売れる可能性もある代わりに、天候や日程に左右されやすい点には注意が必要です。

最近では、ショッピングモールやホームセンターの駐車場など、民間スペースに誘致されて出店するキッチンカーも増えています。

これらの施設は事前契約や出店料が発生することが多いですが、安定した人流を期待できる点で人気があります。

出店場所の確保には、主催者や不動産管理会社との交渉が必要となる場合があり、自治体の許可が必要なケースもあります

また、公共スペース(駅前・公園など)の場合、道路使用許可占用許可が必要となるため、早めに申請の準備をしておくと安心です。

さらに、出店戦略には「固定営業」と「イベント営業」の2つの軸を組み合わせるのが理想的です。

たとえば、

  • 平日はオフィス街でランチ提供
  • 土日はイベントやフェスに出店
  • 雨の日や閑散期はSNSでデリバリー注文を受け付ける

といった具合に、複数の収益導線を設けることが、収入の安定化に寄与します。

また、最近ではInstagramやX(旧Twitter)を活用して「今日は〇〇で出店中」といった情報発信を行い、常連客との接点をつくるキッチンカーも増えています。

立地の工夫とSNSの連携が、今後のキッチンカー経営には不可欠といえるでしょう。


開業支援制度・融資・補助金の活用方法

キッチンカーでの開業を目指す方にとって、資金の確保は大きなハードルです。

自己資金だけでスタートできるに越したことはありませんが、現実には公的な支援制度融資を活用するケースが多数を占めています。

ここでは、キッチンカー起業に役立つ代表的な制度をご紹介します。

まず注目したいのは、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。

この制度は、これから開業する個人事業主や法人に対して、無担保・無保証で最大3000万円(うち運転資金1500万円まで)の融資が受けられる可能性がある制度です。

キッチンカーに必要な車両代や設備投資、開業準備費用などを対象に利用できます。

申請には、具体的な事業計画書の提出が必要です。

売上見通し、出店場所、商品内容、ターゲット層などを明確に記述し、収支の根拠が現実的であることを示すことが審査通過のポイントです。

過去の職歴や飲食業での経験があると、信用評価もプラスに働く傾向があります。

さらに、地域ごとの創業支援事業も要チェックです。

たとえば、市区町村が独自に行っている「創業補助金」「家賃補助」「創業セミナー」などを活用すれば、初期投資の一部が軽減される可能性があります。

自治体の商工会議所や創業支援窓口に相談することで、対象となる補助制度や助成金の情報を得られます。

また、女性や若者、シニア世代の起業に対しては、ジェンダー別・年齢別の支援枠を用意している自治体もあります。

「チャレンジショップ」制度といって、出店スペースを一定期間低価格で貸し出すプログラムもあり、まずはテストマーケティングから始めたい人にもおすすめです。

なお、補助金や助成金は「事前申請が必要」なものが多く、開業してからでは申請できないケースも少なくありません。

資金計画を立てる際には、できるだけ早期に申請条件や締切を確認しておきましょう。

クラウドファンディングの活用も最近では増えており、「地域の食材を活かした新しいキッチンカーを始めたい」といった具体的なビジョンがあれば、共感を集めて資金を調達できる可能性もあります。

このように、公的支援を活用すれば、自己資金を最小限に抑えつつ、安心して開業に踏み出すことができます。

情報収集と準備を早めに行うことが、成功への近道となるでしょう。


車両選びのポイントと注意点

キッチンカー開業の中核を担うのが、もちろん販売用の車両です。

どんなに商品が魅力的でも、営業許可を取得できる設備を備えた車両でなければ営業そのものができません。

ここでは車両選びの基本と注意点を解説します。

まず、キッチンカーには大きく分けて以下のようなタイプがあります:

  • 軽トラック型:小回りが利くが、作業スペースは狭め
  • バン型:広さと装備のバランスが良く、多用途に向く
  • トレーラー型:積載量が多く本格的な調理に対応可能。ただし牽引免許が必要な場合も

それぞれに一長一短があり、たとえば単品提供やドリンク中心の販売であれば軽トラ型でも対応できますが、調理工程が複雑なメニューを扱う場合は広めのバン型やトレーラー型が望ましいです。

また、車両の調達方法としては以下の3つが主流です:

  1. 新車ベースでオーダーメイド(300〜500万円ほど)
  2. 中古車を改造(100〜300万円ほど)
  3. 専門業者のリース・レンタル(月額5万〜15万円ほど)

初期費用を抑えたい場合は、中古車ベースやレンタルが現実的ですが、設備基準を満たしているかを事前に確認することが絶対条件です。

保健所のチェックに通らなければ、どんなに安く手に入れても使い物になりません。

特に注意が必要なのは、シンクの数と大きさ給水・排水タンクの容量冷蔵・冷凍設備の設置です。

自治体ごとに求められる基準が異なるため、購入や改造を始める前に、営業予定地の保健所に図面を見せて確認を取ることが大切です。

また、車両を個人名義にするか法人名義にするかも検討すべきポイントです。

法人名義であれば、経費処理や資産管理がしやすくなる一方、個人で開業届を出すだけでも十分に営業は可能です。

事業規模や今後の展開を見据えて、名義や所有形態を選びましょう。

最後に、車両保険や自動車税、車検費用など、維持コストも忘れずに見積もっておく必要があります。

特に商用利用となるため、保険は業務使用に対応した内容にしておくことが求められます。


キッチンカーを始めるメリットとデメリット

キッチンカーでの起業は、「飲食業にチャレンジしたいけれど、いきなり店舗を持つのは不安」という方にとって非常に魅力的な選択肢です。

しかし、その一方で見落とされがちなリスクやデメリットも存在します。

ここでは、キッチンカー開業のメリットとデメリットを整理し、どのような人に向いているのかを考えてみましょう。

メリット1:初期費用が安く、低リスクで始められる

固定店舗に比べて、家賃・内装費・人件費などが大幅に抑えられる点は大きな魅力です。

とくに人を雇わず1人または夫婦で運営すれば、最初の数ヶ月は赤字を出さずに済む可能性もあります。

メリット2:出店場所を変えられる柔軟性

売上が伸びない場所に固執せず、イベントや繁華街など、柔軟に移動してチャンスを探れるのは、キッチンカーならではの強みです。

季節や天気に応じて営業スタイルを変えることも可能です。

メリット3:ブランディングや販促の自由度が高い

SNSと親和性が高く、自分自身のキャラクターや商品を直接アピールできるため、うまく情報発信すれば短期間でファンを獲得できます。

一方で、以下のようなデメリットもあります。

デメリット1:天候に大きく左右される

雨の日や真夏の猛暑、真冬の寒さなど、天候が悪いと客足が一気に遠のくのは移動販売の宿命です。

売上が不安定になる原因となりやすく、売上予測が立てづらい傾向にあります。

デメリット2:出店先の確保や許可申請の手間

どこでも自由に営業できるわけではありません。

出店場所との契約交渉自治体の使用許可イベント主催者との連携など、事前の手続きや調整が必要です。

デメリット3:作業環境が快適とは言いにくい

車内での調理は狭く、夏は暑く、冬は寒いという過酷な作業環境となります。

特に1日中立ちっぱなしになるため、体力的な負担は決して軽くありません。

キッチンカーは、ローリスク・ハイリターンのように見えつつも、現場での努力が大きく問われるビジネスです。

ただ商品を提供するだけでなく、接客、集客、営業許可の取得、出店交渉、在庫管理など、すべてを一人でこなす必要があります。

「全部自分でやりたい!」という自立志向の強い方には向いていますが、「料理はしたいけど営業活動は苦手」という方には不向きな側面もあるでしょう。


副業から始める?本業で勝負する?ライフスタイルに合わせた選択肢

キッチンカーは、副業から始める人にも適したビジネスモデルです。

特に本業がシフト制やフリーランス業の方は、週末・祝日のみ営業するスタイルから始めることが可能です。

収益の安定性が求められない分、試行錯誤をしながら商品やオペレーションを磨くことができます。

副業スタイルのメリット:

  • 生活費は本業で確保し、キッチンカーは成長投資と割り切れる
  • 本業に支障をきたさない範囲でスモールスタートできる
  • 売上の浮き沈みに神経質にならず、気長に取り組める

たとえば、平日は会社勤めをして、土日は地元のマルシェやイベントに出店。

半年から1年ほどかけて事業が軌道に乗った段階で独立という流れは、実際に多くの人が採用しているルートです。

一方で、本業としてフルタイムで取り組む場合は、初期段階から綿密な収支計画が不可欠です。

安定した収益源を確保するためには、平日の固定出店先+週末イベント+SNS販促+デリバリーやケータリングなどの複合展開が求められるでしょう。

また、個人のライフステージやライフスタイルによっても適した運営スタイルは異なります。

  • 子育て中の主婦・主夫であれば、平日昼間の短時間営業が好まれる
  • 地方在住の方なら、地元密着型で地産食材を活用した展開が有効
  • 定年後のシニアには、イベント限定や地域サービスとしての運営がマッチ

キッチンカーは「こうでなければならない」という正解がないビジネスです。

自分の生活リズム・価値観・得意分野を活かし、「無理なく続けられるスタイル」を模索することが、長く続ける秘訣となるでしょう。


開業前に知っておきたい!トラブル防止と法律知識

キッチンカーは自由度の高いビジネスである一方、法律やルール、地域の慣習に対する理解が不足していると、思わぬトラブルに発展することがあります。

開業前に知っておくべき代表的な注意点を整理しておきましょう。

まず重要なのが、営業場所に関するトラブルです。

公道や公園、駅前などで出店する場合は、道路使用許可占用許可などの行政手続きを取る必要があります。

無断で営業した場合は、道路交通法や都市公園法違反となる可能性があり、罰金や営業停止を受けることもあります。

また、騒音・臭い・ゴミに関しても注意が必要です。

キッチンカーの換気扇や発電機の音が思った以上に大きく、近隣住民や他の店舗から苦情が入るケースは珍しくありません。

ゴミ処理の方法や営業時間にも配慮し、地域と良好な関係を築くことが成功への鍵となります。

次に、税務関連の基礎知識も押さえておきましょう。

開業前には、税務署に対して「開業届」を提出する必要があります。

個人事業主であれば「青色申告承認申請書」も併せて提出することで、最大65万円の控除が受けられ、帳簿を適正に管理すれば節税にもつながります。

さらに、消費税源泉徴収などの税務処理にも留意が必要です。

特に年間売上が1000万円を超える見込みがある場合は、インボイス制度の登録も検討しましょう。

軽減税率の対象となる飲食物販売に関しては、会計処理を明確にしておくことが重要です。

加えて、PL保険(生産物賠償責任保険)の加入もおすすめです。

万が一、提供した食品で食中毒が発生した場合、賠償責任を負うことになります。

保険に加入しておけば、損害賠償や訴訟費用をカバーできるため、経営者としてのリスク管理に欠かせません。

キッチンカーは自由なイメージがある反面、多数の法令・条例・慣習に支えられて成り立つビジネスです。

起業後に慌てないためにも、開業前にしっかりと学び、準備することが成功への第一歩となります。


よくある質問Q&A|キッチンカー開業前に気になること

最後に、キッチンカーでの起業を考える方からよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 調理師免許は必要ですか?

A. 調理師免許は不要です。

ただし、営業許可を取得するには「食品衛生責任者」の資格が必要です。

1日講習で取得できますので、開業準備中に取得しておきましょう。

Q. キッチンカーの営業許可は全国で共通ですか?

A. 基本的には出店地のある自治体で取得します。

複数の都道府県をまたいで営業する場合、それぞれの自治体で許可や届け出が必要なことがあります。

保健所への確認が必須です。

Q. 自宅に車を停めて営業できますか?

A. 原則として不可です。

住宅街での営業は、騒音や通行の妨げ、近隣住民とのトラブルのもとになるため、事前に自治体へ相談し、適切な許可を得る必要があります。

Q. 売上はどのくらいが目安ですか?

A. 月間売上80〜100万円前後が一つの目安です。

もちろん、立地・商品力・営業日数により差はありますが、1日40,000円前後を目標とするケースが多く見られます。

Q. SNSはどれくらい重要ですか?

A. 非常に重要です

InstagramやX(旧Twitter)を活用して「今日はどこで出店中」「新メニュー登場」などの情報をこまめに発信することで、常連客の獲得や認知拡大につながります。

無料で始められるので、開業前から運用をスタートさせましょう。


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