物価高はなぜ起きる?世界と日本の実態と、私たちが今できるお金の守り方とは
- 物価高ってどういうこと?まずは基本を整理しよう
- なぜ物価が上がるの?その原因とメカニズムを知ろう
- 日本の物価高は何が原因?他国と違う事情とは
- 世界でも物価高が起きている?国際的なインフレの背景
- 物価高でお金の価値は下がる?インフレと資産の関係
- 物価高から身を守る方法とは?今考えたいお金の対策
- 投資はインフレ対策の手段になりうるのか?
- 未来の物価とお金の価値はどうなる?私たちにできる備えとは
- まとめ:物価高時代に、自分とお金をどう守るか
- FAQ|物価高に関するよくある質問
物価高ってどういうこと?まずは基本を整理しよう
そもそも「物価」とは何か?
ニュースや新聞でよく目にする「物価」という言葉。
あらためて聞かれると、明確に説明するのは難しいかもしれません。
「物価」とは、モノやサービスの価格の平均的な水準を指します。
たとえば、スーパーに並ぶ食品、ガソリン、電気代、映画館のチケット代、飲食店のランチ、理髪店の料金など、これらすべての値段の動きを総合的に見たものが「物価」です。
私たちが生活するうえで日々支払っているお金が、物価の変動によって「高く感じる」「安く感じる」ようになるわけです。
物価高=インフレとは?簡単に説明すると
「物価高」とは、別の言い方をすれば「インフレーション(インフレ)」のことです。
インフレとは、モノやサービスの価格が継続的に上昇していく経済現象を指します。
一時的な値上げとは違い、ほとんどの品目が長期間にわたりじわじわと値上がりする状態を意味します。
たとえば、牛乳や卵、パン、電気代、公共交通機関の運賃など、身の回りのあらゆるものが値上がりしていくと、インフレが起きているということになります。
逆に、物価が下がる現象は「デフレーション(デフレ)」と呼ばれますが、日本では長らくデフレ傾向が続いていたため、最近の急激な物価上昇には戸惑いの声も多く聞かれます。
物価が上がるとどうなる?私たちの暮らしへの影響
物価が上がると、まず最初に感じるのは「生活費の負担増」です。
いつものようにスーパーで買い物をしているだけなのに、レジで支払う金額が「なんだか前より高い」と感じる。
それは気のせいではなく、実際に商品価格が上昇しているからです。
たとえば:
- 食料品(卵、牛乳、パン、野菜、加工食品)
- 光熱費(電気・ガス・水道)
- 交通費(電車・バス・ガソリン代)
- 教育費(給食費・教材費・学習塾)
- 日用品(ティッシュ、洗剤、シャンプー)
こうした支出のすべてがじわじわと高くなっていくと、「給料は上がっていないのに、毎月の出費が増えていく」という状態に陥ります。
さらに、インフレは貯金や年金生活者にも影響します。
仮に100万円の貯金があっても、その100万円で買えるモノが年々減っていけば、実質的に「お金の価値が目減りしている」ということになります。
なぜ物価が上がるの?その原因とメカニズムを知ろう
1 需要と供給のバランスの変化
経済の基本原理の一つが「需要と供給の関係」です。
簡単に言えば、欲しい人(需要)が多くて、モノ(供給)が足りないと価格が上がる、ということです。
たとえば、災害時に水や電池が一時的に品薄になると、価格が一気に高騰するように、需要が供給を上回る状況では物価が上昇しやすくなります。
最近では、世界的なリベンジ消費(パンデミック後の需要回復)や、中国・インドなどの新興国での消費拡大も重なり、需要が急増したことが物価高を後押ししています。
2 原材料費・エネルギー価格の上昇
私たちが日常的に手にする商品は、原材料をもとにして製造されています。
そのため、原材料費が上がれば、最終製品の価格にも影響が及びます。
近年では、以下のような品目の価格上昇が特に目立っています:
- 小麦(パン・麺類などの原料)
- 大豆(豆腐や油などの原料)
- 原油(ガソリン・電気・物流コストなど)
特に原油価格が高騰すると、輸送コストが上昇し、それがすべての物流や商品価格に波及します。
つまり、エネルギー価格の上昇は、物価全体を押し上げる力を持っているわけです。
3 世界的なサプライチェーンの混乱(コロナ・戦争など)
2020年以降、新型コロナウイルスの世界的流行は、サプライチェーン(供給網)に深刻なダメージを与えました。
工場が止まり、物流が滞り、半導体や医療用品、食品などが一時的に世界中で不足しました。
さらに追い打ちをかけたのが、ロシア・ウクライナ戦争です。
ウクライナは小麦やトウモロコシなどの主要な農産物輸出国であり、ロシアは天然ガスと石油の大国です。
このような地政学的リスクによって、「モノはあるのに届かない」「原材料が入ってこない」という状況が発生し、結果として価格上昇が加速しました。
4 円安や通貨の価値の変動
日本の物価高に特有の要因として注目されているのが、「円安」です。
円安とは、日本円の価値が、他の通貨に対して下がっている状態を指します。
たとえば、1ドル=110円だった為替レートが、1ドル=150円になった場合、輸入品の価格は円ベースで高くなってしまいます。
なぜなら、同じ1ドルの商品を買うのに、より多くの円が必要になるからです。
日本は食料やエネルギー、製造部品など多くを海外から輸入しています。
そのため、円安は私たちの生活コストに直接影響を与えます。
5 政府の金融政策・財政政策の影響
インフレには、政府や中央銀行がとる政策も大きな影響を与えます。
たとえば、日本銀行が長らく続けてきた「異次元の金融緩和」は、市場に大量のお金を供給し、金利を低く抑える政策でした。
これにより、経済の活性化が期待されていましたが、結果として「円の価値が下がりやすい」状態にもつながりました。
また、国によっては、経済刺激策として財政出動や給付金支給などを行ったことで、市場にお金が大量に流れ、需要過多になり、物価が押し上げられた例もあります。
つまり、国の政策も物価に影響を与える大きな要因です。
日本の物価高は何が原因?他国と違う事情とは
日本のインフレ率は本当に高い?データで見る現状
「物価が高い」と感じる場面が増えてきた今、実際に日本のインフレ率はどうなっているのでしょうか?
日本の消費者物価指数(CPI)をみると、2022年以降、前年比2%〜4%台の上昇が続いています。
特に食品やエネルギー価格の上昇が著しく、生活に直結する分野ほど値上がりが顕著です。
ただし、アメリカや欧州の一時的なインフレ率(6〜10%)と比べると、日本の数字は低めです。
しかし注意したいのは、日本は「賃金があまり上がらない国」であるため、インフレ率が低くても家計へのダメージが大きいということです。
つまり、数字上のインフレ率以上に、実感としての「物価高」の影響が強く感じられる構造になっています。
円安の影響で「輸入物価」が高騰している
日本の物価高の大きな要因のひとつが「円安」です。
円安が進むと、海外から輸入する商品の価格が円換算で高くなります。
たとえば、1ドル=100円のときにアメリカから1ドルの商品を買えば100円ですが、1ドル=150円になれば、同じ商品が150円必要になるというわけです。
この影響は次のような分野に及びます:
- ガソリンや電気料金:原油や天然ガスはほぼすべて輸入
- 食品:小麦、大豆、トウモロコシなど主食の原料も輸入依存
- 衣類・雑貨:中国や東南アジアからの仕入れ価格が上昇
つまり、円安によって日本の「仕入れコスト」が増え、それが消費者の支払い価格に転嫁されているわけです。
賃金が上がらない中での物価高=「実質可処分所得の減少」
ここで注目したいのが「実質可処分所得」という概念です。
これは、税金や社会保険料を差し引いたあと、自由に使えるお金のことを指します。
物価が上がっても、給料がそれ以上に上がれば問題は少ないですが、日本では20年以上にわたって実質賃金がほとんど横ばいです。
そのため、物価が数%上がっただけでも、家計は厳しくなります。
たとえば:
- 月収30万円で、生活費が25万円 → 余裕あり
- 月収30万円で、物価高で生活費が28万円 → 余裕なし
このように、支出の比率が大きくなることで、実質的に使えるお金が減っているわけです。
年金生活者や非正規雇用者、子育て世帯など、所得が限定されている層ほど打撃は深刻です。
実感としての物価高:消費者の声と生活の変化
「物価が上がった」と感じるのは、数字よりも日々の暮らしの中での“実感”に表れます。
例えば、次のような声が各地から上がっています:
- 「いつも買っていたパンが20円高くなっていた」
- 「外食を控えるようになった」
- 「電気代が怖くて、エアコンの使用を最小限にしている」
- 「子どもの習い事を減らさざるを得なかった」
このような暮らしの変化は、家計を引き締めるだけでなく、消費の減少や経済活動の停滞にもつながります。
さらに、「これまで100円で買えたものが110円になる」という変化は、小さなようでいて、積み重なると家計に大きなインパクトを与えます。
世界でも物価高が起きている?国際的なインフレの背景
アメリカ・欧州の物価高とその背景
日本だけでなく、アメリカやヨーロッパでも物価の上昇は深刻な社会問題となっています。
特にアメリカでは、2021〜2022年にかけてインフレ率が40年ぶりの高水準(9%台)に達し、多くの市民生活を直撃しました。
その背景には以下の要因があります:
- コロナ禍に伴う財政出動(給付金や失業保険の上乗せ)
- 物流の混乱(港湾や工場の稼働停止)
- エネルギー価格の高騰(原油・天然ガス)
- 住宅価格の高騰と家賃の上昇
欧州ではさらに、ロシア・ウクライナ戦争の影響が色濃く、天然ガスの供給制限によるエネルギー危機が物価高の主因となっています。
特にドイツ・イタリア・フランスなどは、ロシアからのエネルギー依存が高く、暖房・電気代が倍近くに跳ね上がる地域もありました。
世界的なエネルギー危機と食料価格高騰
物価高を語るうえで、エネルギーと食料の価格上昇は避けて通れません。
ロシア・ウクライナ戦争により、以下の供給が不安定になりました:
- 天然ガス(ロシア)
- 小麦(ウクライナ)
- トウモロコシ、ヒマワリ油などの農産物
これにより、世界中でパンや麺類、食用油などの価格が高騰し、途上国では深刻な飢餓リスクも発生しています。
また、エネルギー価格の高騰は、単に光熱費だけでなく、
- 輸送費の増加 → 商品価格へ波及
- 農業・漁業の生産コスト増 → 食料品の値上げ
と、経済全体の価格上昇を加速させる要因となります。
グローバル経済の構造変化と「物価高の新常態」
一時的なインフレではなく、「長期的な物価高の時代が来るのではないか」とする見方も増えています。
それは、以下のような構造的な変化が起きているためです。
- 脱炭素社会への移行により、エネルギー供給コストが上昇
- 世界的な人口増加と食料需要の拡大
- 地政学リスク(戦争・経済制裁・サプライチェーン分断)
- 米中対立などによる「分断型経済」の加速
これらの要素は一時的なものではなく、中長期的に物価を押し上げ続けるリスクを含んでいます。
つまり、私たちは今、「安くて当たり前の時代」が終わろうとしている転換点にいるのかもしれません。
各国の金融引き締め政策とその副作用
物価高に対抗するため、アメリカや欧州各国では急激な金利引き上げが行われています。
たとえばアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は、2022年以降、数回にわたり利上げを実施。
住宅ローン金利や企業の借入コストが急上昇しました。
このような政策には以下のような副作用もあります:
- 景気の冷え込み(企業の投資・雇用が鈍化)
- 住宅市場の低迷(ローン金利上昇で買い手が減少)
- 新興国経済への悪影響(資金流出や通貨安)
つまり、インフレを抑えるための政策が、経済全体のブレーキにもなりかねないというジレンマを各国が抱えています。
物価高でお金の価値は下がる?インフレと資産の関係
インフレ=お金の「購買力」が下がる
インフレの本質的な影響とは、「モノの値段が上がる」こと以上に、「お金の価値が下がる」ということにあります。
たとえば、今まで100円で買えていたパンが120円になったとすると、同じ100円では以前よりも少ない量のパンしか買えないことになります。
つまり、お金の「購買力」が低下しているわけです。
この「購買力の低下」は、次のような事態を引き起こします:
- 毎月の生活費がかさむ
- 子どもの教育費や医療費の将来負担が不安になる
- 老後資金の見積もりがズレてくる
とくに日本のように、超高齢社会・少子化・低金利が続いてきた国では、長年「現金を持つのが安全」とされてきましたが、インフレが常態化すればその常識が揺らぎます。
現金で持ち続けることのリスクとは?
インフレが進行すると、「現金貯金が目減りする」というリスクが顕在化します。
たとえば、500万円を10年間タンス預金していた場合、インフレ率が年2%で推移したとすると、10年後には実質的に約410万円の価値に下がってしまいます。
これは、利息がほぼつかない預金(日本の普通預金金利は0.001%程度)ではインフレに負けてしまうという意味です。
貯金そのものはもちろん大切ですが、「貯金だけに頼るのはリスク」という時代になりつつあります。
「実質金利」とは?見かけの金利との違い
物価高の時代に意識したいのが、「実質金利」という考え方です。
- 名目金利(銀行などで表示されている利率)
- インフレ率(物価上昇の割合)
- 実質金利 = 名目金利 − インフレ率
たとえば、
- 預金金利が0.5%
- 物価上昇率が3%
という状況では、実質金利は「-2.5%」となります。
これはつまり、「お金を預けているだけで、実質的には毎年2.5%ずつ損をしている」ということです。
見かけ上はお金が減っていないように見えても、現実には価値が失われていくのがインフレの怖さです。
預貯金では守れない時代に入った?
「お金は銀行に預けておけば安全」という時代は、もはや過去のものになりつつあります。
もちろん、預金には元本保証という安心感があります。
しかし、超低金利+インフレという組み合わせが続く限り、預貯金だけではお金の価値を守れない現実も見えてきました。
たとえば:
- 100万円を10年間預金 → 利息は数百円程度
- その間に物価が10%上昇 → 実質的には「90万円の価値」に減少
このように、資産を守るためには、「増やす」よりもまず「減らさない」ことが重要です。
そして、そのための手段として今注目されているのが、次章で解説する「投資」という選択肢です。
物価高から身を守る方法とは?今考えたいお金の対策
まずは生活防衛:家計を見直すポイント
物価高が続く中、最初にできる対策はやはり「生活防衛」です。
つまり、支出を見直して、家計の無駄を減らすことが基本です。
たとえば、以下のような見直しは効果的です:
- 固定費(スマホ代・保険・サブスク)をチェック
- 電気・ガスの契約プランを見直す
- まとめ買いやふるさと納税の活用
- キャッシュレス決済のポイント還元を上手に使う
ただし、節約のしすぎは生活の満足度を下げてしまうことも。
「がんばりすぎない節約」を意識し、精神的に疲れない対策を選ぶことが重要です。
収入が増えないなら、支出の効率を最大化する
給与や年金といった「収入」が簡単に増やせない時代だからこそ、「同じ支出でも満足度が高い」使い方が求められます。
たとえば:
- 外食は減らすが、そのぶん少し高めの食材で自炊して満足度アップ
- 旅行の回数を減らして、質の高い1回に集中
- 子どもの習い事を絞って、本当に合うものに投資
これは単なる節約ではなく、「お金の使い方をデザインする」という視点です。
限られた資源(お金・時間)を最大限に活かすことで、物価高のなかでも充実した生活を守ることが可能になります。
価格に敏感になりすぎない「心の余裕」も大切
物価高が続くと、スーパーで1円単位の価格に敏感になりすぎて、心の疲労感が増すという声も多く聞かれます。
もちろん「お得を選ぶ」ことは大切ですが、それがストレスになるなら本末転倒です。
ときには、
- 高くても安全・安心な商品を選ぶ
- 値上がりしても自分にとって必要なものは買う
- 「これは贅沢ではなく、自己投資だ」と納得して使う
といった、「価値に納得したお金の使い方」が、心の安定と生活の質を保ちます。
今こそ、「損得」だけでなく「納得」できる選択を意識しましょう。
短期的・中長期的視点で防衛策を分けて考える
物価高への対策は、「今すぐの支出を抑える」短期策と、「数年先の価値を守る」中長期策の2つに分けて考えると整理しやすくなります。
視点 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
短期 | 支出を減らす | 家計の見直し・節約・特売活用 |
中長期 | 資産を守る・増やす | 投資・副収入・スキルアップ |
たとえば、節約や節電は即効性がありますが、限界もあります。
一方、中長期の資産形成や投資は時間がかかるものの、インフレに強い構造を作れます。
どちらか一方だけではなく、「両方をバランスよく取り入れる」ことが、物価高時代を乗り切るコツです。
投資はインフレ対策の手段になりうるのか?
なぜ投資が「お金の価値を守る手段」とされるのか
物価が上がり続けるなか、「貯金だけではお金の価値が減ってしまう」と不安を感じる人が増えています。
そんな中で注目されているのが、インフレに強い資産を持つ=投資によってお金の価値を守るという考え方です。
投資にはさまざまな種類がありますが、共通して言えるのは次の点です:
- お金を働かせて「増やす」可能性がある
- モノの価値が上がることで、資産価値も上昇する可能性がある
- インフレで現金の価値が下がっても、資産が増えて相殺されやすい
もちろんリスクがゼロではありませんが、「何もしないリスク」も今の時代は無視できないということです。
物価に強い投資先の例(インフレ耐性のある資産)
では、具体的にどのような投資がインフレに強いとされているのでしょうか。
代表的な例は以下の通りです。
投資先 | インフレへの強さ | 特徴 |
---|---|---|
株式 | 中〜強 | 企業の価格転嫁により利益が増えやすい |
不動産 | 強 | 家賃収入や物件価格が物価に連動しやすい |
インフレ連動債 | 強 | 物価上昇に応じて利払いが増える設計 |
コモディティ(商品) | 強 | 金・原油・穀物など、需要と供給に影響されやすい |
特に、金(ゴールド)は「インフレ時の資産防衛」として長年評価されてきた資産です。
また、不動産は実物資産であり、物価上昇に伴って土地や建物の価値が上がる可能性もあります。
逆に、インフレに弱い資産の特徴とは?
一方で、以下のような資産はインフレ時に価値を下げやすい傾向があります:
- 現金・預金:前述の通り、金利がインフレに追いつかない
- 固定利付債券:利率が変わらないため、実質利回りが目減りする
- 一部の生命保険・学資保険:返戻金が固定されている商品は注意が必要
つまり、「安心だから」と選んだ資産が、インフレによってリスク資産に変わることもあります。
これまで「貯める・守る」に重きを置いていた人も、「どう資産をインフレから守るか」という視点に切り替えることが求められています。
初心者が気をつけたいポイント:焦って投資しない
物価高のニュースを聞いて、「今すぐ何かに投資しなきゃ!」と焦る人も少なくありません。
しかし、一番のリスクは「知識がないまま始めてしまうこと」です。
初心者がまず意識すべきポイントは次の通り:
- 少額から始める(つみたてNISA・iDeCoなど)
- 長期・分散・積立を基本とする
- インフルエンサーやSNSの情報をうのみにしない
- 生活防衛資金(最低でも3〜6ヶ月分)は手元に確保する
物価が上がる時代は、「投資をしないことがリスク」でもあり、「焦って投資することもまたリスク」です。
だからこそ、正しい知識と段階的な行動が求められます。
未来の物価とお金の価値はどうなる?私たちにできる備えとは
インフレが長引く可能性とその背景
一時的な物価高であれば、「しばらく我慢すれば落ち着く」という考え方もできます。
しかし、現在のインフレは単なる一過性ではなく、構造的な長期化リスクを含んでいます。
その背景には以下のような要因があります:
- 地政学リスクの常態化(ウクライナ戦争、中東不安定、台湾問題など)
- エネルギー転換による供給制限(脱炭素、原発再稼働の遅れなど)
- 人件費の上昇(労働人口の減少、賃上げ圧力)
- グローバル経済の分断(米中対立、サプライチェーンの再編)
これらの変化は、モノの価格だけでなく、労働やサービスの「あり方」までを変える可能性をはらんでいます。
つまり、私たちは「物価が上がるのが当たり前の時代」に適応していかなければなりません。
今からでも遅くない!「お金の防衛力」を高める意識
こうした状況に備えるには、単に「節約する」や「投資する」だけでなく、“お金の防衛力”を総合的に高めることが大切です。
お金の防衛力とは:
- 収入を増やす力(副業・転職・スキルアップ)
- 支出をコントロールする力(家計管理・断捨離・価格意識)
- 資産を育て守る力(投資・分散・リスク管理)
- 情報を見極める力(リテラシー・判断力)
これらをバランスよく身につけていくことが、物価高に対して「受け身」ではなく、「能動的」に対応する力となります。
「今まで何もしてこなかったから…」と不安になる必要はありません。
備えは“今からでも”間に合います。
変化する社会とどう向き合うか:マインドセットの重要性
物価高、円安、不安定な世界情勢…。
情報が多く、不安が募る今だからこそ、大切なのは「マインドセット(心の構え)」です。
以下のような視点を持つことで、変化に振り回されず、自分の軸を保ちやすくなります:
- 「完璧」を求めず、7割の備えを目指す
- 一歩ずつ、できることから始める
- 他人と比べず、自分の価値観に沿ったお金の使い方を意識する
- 長期的な視野を持つことで、短期の不安に動じにくくなる
「怖い」「わからない」という気持ちがあって当然です。
でも、正しく恐れ、冷静に判断し、少しずつ行動することで、未来への不安は確実に減らせます。
「価値のあるお金の使い方」を見直すタイミング
最後に、お金そのものだけでなく、「お金の使い方」についても見直すタイミングに来ているのかもしれません。
たとえば:
- 価格が安いから買うのではなく、長く使えるものに投資する
- 見栄や衝動で使うのではなく、心が満たされる経験に使う
- モノよりも、人や時間、学びにお金を使うことで、自分自身の価値を高める
これは、「守るための支出」ではなく、「未来を創る支出」です。
物価高の時代だからこそ、本当に価値あるお金の使い方を見つめ直すことが、私たちの人生の質を左右します。
まとめ:物価高時代に、自分とお金をどう守るか
物価高は一時的な現象ではなく、世界的な構造変化の中で進行している可能性が高まっています。
この激動の時代を生き抜くには、「ただ我慢する」「ただ節約する」といった受け身の姿勢だけでは限界があります。
ここで、記事全体の要点を改めて振り返ってみましょう。
なぜ物価が上がるのか、その構造を知ることの大切さ
インフレは「モノの値段が上がる」というだけでなく、お金の価値が下がる現象です。
その背景には、
- 世界的な需要増加
- 原材料・エネルギー価格の上昇
- サプライチェーンの混乱
- 通貨価値の変動(円安)
などが複雑に絡み合っています。
「なぜ今、物価が上がっているのか?」という全体像を理解することが、正しい対策の第一歩です。
日本・世界の物価高は構造的問題でもある
日本では、賃金の伸び悩みや円安による輸入物価の上昇が、実質的な生活コストの増加を引き起こしています。
世界的にも、エネルギー・食料・物流をめぐる根深い問題がインフレを支えています。
これは一時的なショックではなく、「物価が上がりやすい社会構造」への移行とも言える状況です。
現金資産は価値が目減りする可能性もある
物価高のなかでは、現金を持っているだけではお金の実質価値が下がっていくというリスクがあります。
預貯金はもちろん大切ですが、インフレが進めば「安全なはずのお金」がじわじわと目減りしていくことを、私たちは認識しておく必要があります。
防衛策としての投資・節約・マインドの三本柱
物価高に立ち向かうためには、以下の3つの柱が重要です:
- 投資:お金を働かせることで、インフレに強い構造を作る
- 節約:支出の効率を最大化し、家計を守る
- マインド:変化に耐えられる心と柔軟性を持つ
この3本柱をバランスよく育てることで、生活の不安を減らし、未来への備えを実現できます。
長期目線で、備えある行動を
物価高の波は、すぐに終わるものではありません。
だからこそ、今できる小さな行動が、数年後の安心を支える力になります。
- 家計を見直す
- 投資について学び始める
- 無理のない範囲で実践してみる
- お金に対する「考え方」をアップデートする
これらは、未来の自分と家族を守る大切なステップです。
FAQ|物価高に関するよくある質問
Q. 物価高はいつまで続くのでしょうか?
一時的な要因(戦争・災害・供給不足)だけでなく、構造的な問題(エネルギー転換・人口動態など)もあるため、短期で収束するとは限りません。
特に日本では円安や賃金の伸び悩みなどが物価高を加速しており、「長期的に続く可能性がある」という前提で備えることが大切です。
Q. 物価が上がるとお金の価値はどうなりますか?
物価が上がる=お金の「購買力」が下がることを意味します。
たとえば100円で買えていた商品が120円になれば、同じ100円では以前と同じ量が買えません。
インフレにより、現金をそのまま保有していると価値が目減りしてしまうことがあります。
Q. 投資は本当に物価高の対策になりますか?
はい、インフレに強い資産(株式・不動産・金など)を保有することで、お金の実質価値を守る手段になり得ます。
ただし、リスクもあるため、少額からの積立投資や長期分散投資が基本です。
焦って始めるのではなく、学びながら段階的に進めることが重要です。
Q. 貯金はしない方がいいのでしょうか?
いいえ、生活防衛資金(急な出費に備えるお金)は預貯金でしっかり持っておくことが大切です。
ただし、すべてを現金で持つのではなく、インフレリスクに備えた資産分散(投資や実物資産)も検討するのが理想的です。